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骨付きもも肉との格闘|鹿肉ジャーキー

手作り燻製
この記事は約6分で読めます。

話は2011年晩秋に遡ります。
鹿が増えて農作物に被害出ているので、猟友会の人たちが駆除を盛んにやっていた頃です。『駆除』っていう言葉の響きがどうも好きじゃないけど、今回の話の中心はそこじゃないので。

全ては一本の電話から始まった。

知人の飲食店経営者から、
「鹿のもも肉を2本もらったけど1本いる?」と電話が。
私がよく燻製やハムなんかを作っているのを知っているから連絡をくれたんだろう。
『鹿のもも肉』というなんともうまそうな響きに、
「はい、もらいます!」と喜び勇んですっ飛んでいきました。

行ってみると、皮が剥かれた骨付きのももがどーんとそのまま。
いやいや、これ全部はちょっと・・・
「まぁ、いいじゃん、切って冷凍しとけば」という言葉に押し切られ、骨付きのまま持ち帰りました。鮮度抜群で、ちゃんと血抜きもされた良質な肉ではあるんだけど、さて、この量をどうしたものか。

とりあえず捌いて適当な大きさにカットしなくては。
夜10時頃、作業開始。

肉との格闘のゴングが鳴る。

2011年にはまだブログをやっていなかったので、写真はあんまり撮ってないんですよねー。
骨付きももの写真があれば迫力あったと思うけど。
ともかく文章中心でお送りします(笑)

鹿のももって、薄い膜や腱を取り除くのが大変なんですよね。
とにかく量があるので、ハム用、シチュー用、ジャーキー用の3つに分けます。
身の一番厚い部分をハム用にして、次に良さそうなところをジャーキー用、残りをシチュー用にします。
骨から身を剥がし、腱をすき取ります。このもの凄く地道な作業、夜中に何やってるんだと自問自答。この時点で、骨付き肉をもらってきたことを後悔し始めてます。
翌日は休みだから、とにかく終わるまでやるしかない。

途中休憩を挟みながら、なんとか全部終了したのは午前4時。
出刃包丁をこんなに長時間駆使したことない。不思議と頭は冴え渡り全然眠くない。でも、疲れたー。とにかく疲れたぁ。ふー。

残されたひとつの大きな問題。

残ったこのゴツイ骨、これどうすんの?
まぁ、燃えるゴミに出せばいいんだろうけど・・・骨って燃えるよね?
いやいやいや、こんな骨をゴミ袋に入れて出したら、何か事件性を疑われそうな気がする。この骨だけ見たら動物の骨なのか人間の骨なのかわからないもん。

うーむ、これは山に返しに行った方がいいな。
この鹿は東山で獲ったものらしいけど、西山で我慢してもらおう。

以前にウグイやらニジマスやらを釣った堰堤湖方面へ。

林道をジムニーで走り、沢沿いの森に穴を掘って埋めることにしました。
まだ薄暗い中、ザクッザクッと穴を掘っていて、ハタと思った。
この状況を万が一誰かに見られたら、これこそ事件性を疑われるではないか!!
穴掘って骨埋めてたら、絶対通報されちゃうよー(笑いごとではない)

結局誰にも見つからず(別に悪いことしてるわけじゃないけど)、無事帰ってきました。

この肉は無事に、鹿肉ハム、鹿肉シチュー、鹿肉ジャーキーになりました。
後日、鹿肉をくれた知人のところへお裾分けを持っていったら、いずれも好評でした。
特に鹿肉ジャーキーは、皆さん絶賛してくれました。

残念ながら、写真は鹿肉ハムのこれしかありませんでした(^_^;)

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鹿肉ハム。
この写真みてたら思い出しました。これもかなりうまかったです。豚肉で作るハムより、肉の旨みがしっかり詰まっている感じ。
ジビエって臭みがありそう、なんて思うかもしれませんが、血抜きされた肉は臭みは全くありません。
これはセロファン巻いて作ってますが、生ハムじゃなく茹でるハムの場合はサラシを使った方が良いですね、今見ると。

後日、知人から連絡がありました。
ジャーキーをいろんな人に食べてもらって絶賛されたので、もう一度作って欲しいと。
今度は、駆除肉の活用事例として市長なんかにも食べさせると。
まぁ、1kgくらい肉があれば作りますけども。くれぐれも、1kgくらいにカットしたやつね。

鹿肉ジャーキー

  • 鹿肉…1kgくらい
  • 漬け込み液
    酒…160cc
    味醂…160cc
    醤油…300cc
    三温糖…大さじ2
    白味噌…大さじ2
    にんにくのすりおろし…小さじ2
    しょうがのすりおろし…小さじ2
    鷹の爪…6本
  • スモークウッド…適量(サクラ)

漬け込んで、乾燥。肉の旨みが凝縮されます。

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今回の肉は冷凍してあったものらしい。前回ほど良くないけど、仕方ない。
脂を取り除き、薄膜もすき取って10〜20mmくらいの厚さにスライスします(燻製用フックに掛けやすいサイズに)。
このくらいの量なら特に大変なことはないです。

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タッパーに上記配合で漬け込み液を作り、鹿肉を48時間漬け込みます。
写真をみると鷹の爪の種まで入ってますね。まぁ問題はないけど、今だったら種は取り除きますね。5年前はずいぶんいい加減な料理をしてたんだな(苦笑)。
まぁ、過去の仕事をみて「ひどいな、これ」と思うってことは、今はだいぶ進歩した証しだと肯定的に捉えておこう。
48時間経ったら、水を張ったボウルで鹿肉を軽く洗います。塩抜きのように長時間水に浸ける必要はありません。

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キッチンペーパーで押さえて水分をしっかりとります。
皿の上に乗せた網に乗せ、冷蔵庫で乾かします。もちろん外気温が低ければ干し網で外で風乾しても良いです。
冷蔵庫なら3時間ほど、15℃以下の日影なら6時間ほど風乾します。表面がさらっとした感じになります。

ここからは写真がありません。ブログやってなくても写真くらい撮っておけば良かったな。
とりあえず雰囲気がわかるように鶏ささみの燻製の写真で代用します。

温度管理が極めて重要ですよ!

前回、ニジマスの温燻が熱燻になっちゃたから、これだけは声を大にして言っておこう(笑)

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UNIFLAME フォールディングスモーカーアマゾンで見る)と熱源の電熱器楽天で見るアマゾンで見る)。

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鹿肉をフックに差して吊します。

  1. スモーカーに入れ、50~55℃で1時間程温熱乾燥します。
  2. 次に温度を60℃に上げ、 2時間程燻煙。
  3. 燻煙が終了したら、60℃を保ったまま、好みの乾き具合になるように、1〜2時間程温熱乾燥。

市販のビーフジャーキーや鮭とばのような固い仕上がりが良ければ最後の温熱乾燥の時間を長くして下さい。
煙抜きはなるべく開いて、しっかりと水分を飛ばします。くどいようですが、この写真は鶏ささみですよ。
鶏ささみも全く同じレシピで抜群にうまい燻製が出来上がるので、おすすめです。

スモーカーから取り出し、温かいうちに日本酒をスプレーします。これでいい艶がでます。 その後しばらく風にさらして出来上がり。1日以上おいてから食べた方がおいしいです。

この味には絶対の自信あり。

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できあがった鹿肉ジャーキー(なんとか写真があった笑)。
市販のビーフジャーキーよりソフトで抜群にうまいですよ。ニンニク、ショウガ、味噌がポイントですね。
縦に裂いて食べても良いですが、こんな風にスライスするとウイスキーや焼酎のアテに最高なのです!
牛肉でも良いし、イノシシでも良いかもしれません。ただし、ジャーキーにするのは赤身肉が良いので、極力脂は取り除いた方が良いと思います。

140712山室川シカ
その後、鹿丸ごと一頭もらえるチャンスはあったけど(詳しくはこちら)、もも一本であれだけの格闘をしたので、とてももらう気にならず。
今から思えばもったいなかったかも。この鹿は土に埋められると言っていた。

できあがったジャーキーの写真を見ていたら、あの味を思い出した。
もう一度作ってみたい気もする。ただし、骨付きもも肉はやはり勘弁願いたい(笑)

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コメント

  1. 伯父がイノシシや鹿を狩猟でゲットワイルドしているので良くもらいます。
    鹿ジャーキーも美味いですが質のいいイノシシたまりませんね。
    ちなみにカンガルージャーキーとワニジャーキー食べたことあります(笑)

    • Nori1022さん、こんばんは。
      なんですと!? お父さんは漁師で伯父さんは猟師ってことですか(笑)
      魚だけじゃなく肉までゲットワイルドできるとは、うらやまし過ぎるー。
      イノシシは脂身もうまいですね。
      カンガルーとワニ? どちらも食べたことない・・・はずだけど、なぜかワニの味を知っている。どこで食べたんだろ(^_^;)

  2. こんばんは。
    美味しそうですね、鹿干肉。
    鹿肉のジャーキーを食べた事はありませんが、脂身の無い赤身ですから、きっと美味しいでしょう。
    我家では、ギトギト霜降り肉より、適度な脂のオージービーフの方が好まれるので、きっと美味しく感じると思います。

    • マンボウさん、こんばんは。
      ジャーキーには脂身のない肉が向いていますね。鹿肉ジャーキー、食べたのは5年前ですが、今でもうまさがよみがえります(^_^)
      記事中にも書きましたが、鶏ささみで作ってもかなりイケます。
      私も赤身肉が好きです。

  3. この話、前の記事でチラッと触れられていたので気になってました。
    こんな話だったんですね〜。
    ジャーキーはもっと簡単にできると思ってましたが、割と手間がかかってますね。
    私は赤身の多い肉が好きなので鹿肉ステーキとかも美味しく食べられそうです。

    • akiさん、こんばんは。
      こんな話でした(笑)
      ジャーキー自体は、漬けて干して煙で燻すだけなんでそれほど手間はかかってないですが、前段階のもも肉の切り分けがものすごーく大変でした(笑)
      鹿肉ステーキもうまそうですねー。鹿カツなんてのも良いかも?

  4. おはようございます。
    ジャーキーって店で買うと結構な価格ですが、それなりに手間が掛かるので高いのも納得です。これ食べ出すとお酒が止まらなくなりそうです。

    • 七流釣師さん、こんばんは。
      確かにジャーキーはお店で買うと結構高いですね。スモークサーモンなんかも高いし、燻製全般高めの設定ですね。
      自分で作ると、意外と簡単にできるので、たっぷり食べられます。
      お酒、止まらなくなりますね。と言っても、私はアルコール弱いんですけどね(笑)

  5. こんばんは。
    ほんと!同じジャーキーの記事が同時に出ましたね、たしかに骨は山で穴を掘っていれば疑われますね、私は少し細かくしてゴミで出してしまいます、沢山作ればいいのですが意外と手間がかかり出来上がりは少量、今度私も吊るす方法でやってみようと思います。

    • ハックルさん、こんばんは。
      二人同時に鹿肉ジャーキーの記事を書いているとは(^_^)
      ほんとに穴を掘っているところを、人に見られなくて良かったと思います(笑)
      私はちょっと厚めにスライスしたので吊す方法にしました。
      ソフトな仕上がりで食べやすいので、おすすめできます。

  6. 結局、とどのつまりは旨いモノを作ろうと思ったら、それ相応の手間が掛かると言うことでしょうね。
    鹿肉の燻製、ボクも他人が作ったものは食べたことありますが、旨かったですね。^^

    • kuniさん、こんばんは。
      燻製は時間はかかるけど、手間はそれほどじゃないはずなんですが、今回は骨付きのもも肉から始まったので、とんでもなく手間がかかっちゃいました(苦笑)
      鹿肉、うまいですよねー。
      脂が少ない赤身肉、まさに燻製向きですが、シチューも結構いけました。カレーに入れてもきっとうまいだろうと想像します(^_^)

  7. この時期は皆さんも燻製作りが始まりましたね
    素材により燻製もやり方が違い勉強になります
    市販の素材を買って燻製にするのも良いですが
    頂いた物を一層美味しくするのも喜ばれるでしょう。

    • 釣りお爺さん、こんばんは。
      外気温が低くなるこの時期は燻製作りには最適ですよね。特にスモークサーモンのような冷燻は今の時期ならではですね。
      野生肉は燻製には最適な素材だと思います。
      頂き物はうれしいですが、あんまりたくさんだと大変ですね。適度な量がありがたいですね(笑)