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ランディングネットを編む|その3…アバリを作る

おすすめアイテムランディングネット作り
この記事は約10分で読めます。

ランディングネットの糸が一箇所切れてしまったことから始まり、ランディングネットを自分で編もうと考え、それならクレモナ糸を自分で好きな色に染めてみようということになり、そこから編むのは教書に従おうとは思ったけれど、それがなんだかわかりにくくてしばらく手をこまねいていました。
ちょっとテストをしてみて、なんとか編めそうだということにはなったけれど・・・

 
市販されているものの中では幅や長さが一番適していると思われる7号のアバリ。
これに60mくらいのクレモナ糸を巻いてみたけど、ちょっと太くなりすぎてこれで編んでいくのは無理そうだよね。
7号アバリのサイズは幅が15mm、長さが185mm。その上のサイズになると幅が20mmで太すぎるし、長さも225mm程度なので無理。

これは、アバリを自作するしかないのかなぁ?

前に書いた通り、編むのはこの本に従って進めますが、いろいろ不明点が多数。


フライフィッシングギアのハンドクラフト教書アマゾンで見る
この本では一筆書きのように1本のクレモナ糸で継ぎ目なしに編んでいく方法が紹介されていて、それにこだわるから難しくなっちゃってるのは否めない。
それなら継ぎ目ありで編めば良いんだけど、その方法もネット検索してもよくわからないので、今の私には不明瞭な部分はあるにしても一応全工程が書かれているこの本に従うしかないのです。
竹製の粘土ベラを材料にして作ったアバリを使って編んでいると書かれているけど、そのサイズも不明。どうやって作るんだよ、このアバリ。

もう一つ参考にさせてもらった、Akasaka Wood Worksさんのサイトの方が詳しく書かれていて、こちらはFlyRodders 2004年1月号に掲載されていた「結び目のないネット編み」の改良版となっています。FlyRoddersは上記教本と同じ「地球丸」から出版されているので、これ、元ネタは一緒ですね。
で、そのAkasaka Wood Worksさんは30cmのアバリを使って編んでいると書かれていたので、とりあえず30cmのアバリを作ってみよう。作り方はわからないから我流でいこう。

竹製のアバリを自作しよう!

まず、素材をどうするか。
教本に書かれていた「竹製の粘土ベラ」。検索してもそんなものが見つからないし、入手経路が不明。
太い竹を割って板状のものを作れば良いんだろうけど・・・竹林はどこにでもあるけど勝手に切るわけにはいかないし。まぁ、持ち主に頼めば可能だとは思うけどちょっとメンドクサイことになりそうな気も。

ホームセンターを覗いてみたら、ガーデニング用の材料のようなもので太い竹を割った物があるにはあったけど、長さ1.8mもあるしちょっと繊維が荒いというかうーん・・・

竹じゃなくても、薄い木材ならどうなの?
でも、先端部をくり抜いて針状にする加工ができるだろうか。唯一簡単に加工できそうな2mm厚のバルサがあったけど、ちょっと強度的に問題あるよね。やっぱり竹が最適だろうな。

もんもんとしながらも、しばらく手が出せないままでした。

竹製の30cmものさし。これがアバリに最適な材料だ!

とある日、実家の押し入れを片付けていたら、竹製のものさしが出てきました。
これだ!
私が小学校の頃に使っていたものだろうか。こんな竹製の使ってたかなぁ。あんまり記憶にないけど。ともかく、今は誰も使わないのでもらってきました。
これこそ、アバリの材料にピッタリではないか!

 
実家から発掘された竹のものさし。これで2本とれれば良かったけど、幅的に1本しかとれないので、もう1本はダイソーで入手。百均で竹のものさしを売っているとは思わなかった。
材料さえ手に入れば、善は急げですぐ取りかかります。

カンナで薄く削れば、良質な竹板材料のできあがり。

まずは、薄く削ることにしよう。

 
カンナで削るのにものさしが引っかかる部分がないと。ものさしを2mm厚まで削るので、ストッパーは1mmくらいが良いね。そんな薄い板がなかったので、コマ板を作った時のPPシートを小さくカットして釘で打ち付けました。土台はいつも作業台代わりにしているガーデニング用の角柱。こんな感じにものさしを置いてカンナで削ります。

 
愛用している小型のカンナ。小細工するのに最適です。
さぁ、削ります。せっかくものさしとして加工されているものを、買ってきた途端に削っちゃって申しわけないです、ダイソーさん(^_^;)

ベランダで作業していたけど、あまりにも寒風吹きすさぶので、室内に移動。梱包用の紙の上で作業することにします。

 
順調に削れます。穴があいていてなんだかチーズを削っているかのよう(笑)

 
厚さ2mmくらいになるまで削ります。
もう一本も同様に。実家にあった方は古くて乾燥しているせいか、ダイソーの物より固くてちょっと大変でした。

 
ツールスタンド作りの時にも登場したダイソーのハンドサンダー。これに320番のサンドペーパーを巻いて削ります。

 
幅16mmの位置にボールペンで線を引いてノコギリで切ります。
ナタかナイフで割っても大丈夫だと思うけど、失敗するといやなのでこの細工用の小さいノコギリで。このノコギリもいつも活躍してくれます。

 
両刃になっていて、片方は木材用。もう片方は竹、プラスチック用の刃がついています。

 
ノコギリで縦に切ったところ。
側面をカンナで滑らかにします。

 
16mm幅の竹材料2本。
まだ少し厚いので、サンドペーパーをかけて薄くします。

 
これでアバリ2本分の下準備は完了です。
部屋がカンナ屑だらけになったけど、掃除機かければ問題なし。

パソコンを使ってアバリの型紙を作ります。

樹脂製のアバリを参考に、パソコンで実寸大の形状を作成し、プリントアウトします。
下記図面はクリックすると原寸大で表示できます。

 
30cmアバリ型紙。
一枚目が私が作ったものですが、糸を巻いてみたら真ん中のくりぬき部分と後ろの凹みがもう少し短くても大丈夫そうだったので、これから作るとしたら2枚目の図面がおすすめ。
幅も1mm縮めて15mmにしてありますが、16mmでカットしてから余裕を持ってくりぬき部分を作ってから側面を削って細くした方が無難かもしれません。
パソコンでクリックすると原寸大画像が開くのでそれを右クリックして保存し、画像編集ソフトで開いてそのままプリントアウトして使ってもらって構いませんよ。
ただこれ、全長30cmあるのでA4サイズ(長辺297mm)に収まらないので、下記にA4サイズに収まる全長28cm仕様の図面も掲載しておきます。今回の渓流用ネットであれば、こちらのアバリでも十分だし、短い分扱いやすいのでおすすめです。


A4サイズ対応版 28cmアバリ型紙。

 
私のプリンターはA3までプリントアウトできるので、30cmサイズを普通紙にプリントアウトして、糊で厚紙に貼りました。
カッターで形に沿って切ります。この段階でくりぬきの細い部分は結構慎重にやらないと。
これ、竹だとさらに大変かも。ほんとにできるのかね、これで。


型紙完成。アバリっぽいじゃない(笑)

 
竹板の上に置いて、細いシャープペンシルでなぞって形を写し取ります。
くり抜きの細い針部分はフニャフニャ動いて書きにくいので、ほんとは両面テープを小さく切って貼り付けてからなぞった方が良いと思う。あんまり精密に書いても、結局削りながら現物調整していく感じなんで少しくらいずれても問題はないけど。


竹板の裏面も同様になぞって型取りします。型紙を裏返して使ってますが左右対称なので、特に意味はありません。

懐かしい道具、彫刻刀が大活躍。地道に作業しましょう。

 
小中学生の時に使って以来眠っていた彫刻刀が久々に活躍。
まず、切り出し刀で先端部を削ります。ここは別に普通のナイフでもいいけどね。

 
後でヤスリがけするので、大体の形になればOK。
今度は後ろの凹み部分。切り出し刀で線になぞって切り込みを入れます。両面ともやっておきます。

 
三角刀で側面の切り込みに沿って削ります。
真ん中辺りは丸刀を使った方が削りやすいです。

 
R部分も丸刀を使って。
裏面からも同様に削って、大雑把に凹み部分を作ります。


最後は切り出し刀の先端を使って削ります。ここもとりあえず、大体の形になればOK。

 
いよいよ、一番大変そうなくり抜き部分に着手。
まず、切り出し刀で線に沿ってなぞります。両面ともやっておきます。
つづいて、三角刀で削ります。
ここは、細いので切り出し刀で描いた線と線の真ん中に三角刀の刃を当ててひたすら削っていきます。

 
R部分は丸刀を使います。
ある程度削ったら裏面からも同様に削ります。
形は気にせず、同じ場所を三角刀でどんどん削っていくと裏面に貫通(写真2枚目)。
なんとなくイケそうな気がしてきた(笑)

 
ここまで来たら、切り出し刀を差し込んで最初の切り出し刀の線の部分まで削ります。
真ん中の針は慎重に削っていきますが、意外と強靱で簡単には折れそうもないです。理想は針、隙間とも3mmですがそれほどこだわらなくても糸が巻ければ大丈夫。
針の根元部分は小さい丸ヤスリを使って削ります。

 
先端側のR部分は糸を通したり解いたりしやすいように広めに削ります。
全体を400番のサンドペーパーでヤスリがけします。編んで行く時に引っかかりがないように、外周もちゃんと面取りして滑らかに仕上げます。
くり抜き部分と針もしっかりヤスリがけしたらできあがり。

のべ6時間費やした成果。地道な作業が報われた。


樹脂製の7号アバリと比べてみよう。
これだけ長くなれば、糸を全部巻いてもブクブク太くならずにうまく編めると思う。


二本のアバリが完成!
色白の方がダイソーのものさし、手前の色が濃い方が実家で眠っていたものさし。
気が付けば、制作開始からすでに6時間が経過していた。オソロシ。
頭の中で完成までの作業手順がイメージができていて、その通り順調に進んでいければ驚異的な集中力を発揮する私(笑)

違う用途に生まれ変わってしまったけど、このアバリ、ちょっとやそっとじゃ壊れそうにないから一生大事に使わせてもらうよ。


実際に糸を巻いてみると、くり抜き部の針の先端が円錐状に細くなっていないとうまく糸がほどけていかないので(樹脂製の方はちゃんとそうなっている)針の先端部を少し削って完成。
最終的な完成形にするには、もうちょっと丁寧にヤスリがけしたいところだけど、この状態で実用上は問題ないので本番のランディングネット編みをスタート。早く編みたくて仕方ないのです。

編み始めてみると、先端部はもっと削っても問題ないし、後ろの凹みもこんなに深くなくて大丈夫なので、もう少し全長を短くできそう。編み終わったら少し短くして全体をもっと丁寧にヤスリがけして仕上がりとしたいと思う。

このアバリが出来上がってから、Akasaka Wood Worksさんのサイトを再度よく見たらなんとステンレス製ロング網針というのを売っているではないですか。税込1,600円。
二本だと3,200円。高いか安いかは別にして、40cmも長さがあるので渓流用ネットを編むにはちょっと長すぎて取り回しに苦労しそうだけど。
これ、竹製ものさしが発掘される前に見ていたら安直に買っていたかもしれないけど、竹製ものさしが出てきたことで、二本200円で満足できるアバリが完成したのでかえって良かったと思う。そう言わなきゃ報われない(笑)

Akasaka Wood Worksさんは完成品のランディングネットをはじめ、フレーム、ネットの材料を豊富に販売しています。
芸術的と言える仕上がりのランディングネットは高価なのでちょっと手が出せませんが、フレーム(網枠)はいずれ自作したいと思っているので、今後も材料購入でお世話になることは間違いないでしょう。

やる前から諦めていたら何もできない。

ともかく、アバリがこんなにうまくできるとは思わなかった(自画自賛笑)
いつもだと、途中で失敗して何度かやり直してやって出来上がるって感じだけど、今回は神の力が働いたのか、一回ですんなりうまくいっちゃった。まぁ、たまにはこういうこともなくちゃやってられない。
うまくいき過ぎてちょっと顔がにやけて来るけど、浮かれてるととロクなことないので、こういう時こそ平静を装っておこう。(笑)

「これは無理だなぁ」と思えることでも、やってみると案外うまくいくこともあるもんですね。やる前から諦めちゃいけないんですね。

さてと、そんなわけですでにランディングネットを編み始めています。
で、こちらは例によってすんなりいくはずもなく、試行錯誤の悪戦苦闘ですが、やっと順調に進められるところまで来ました。完成もそんなに遠くはない・・・はず。

昨年クレモナ糸を染めた頃から「いつになったらネットが完成するんだよ」と思っていた皆さん、私の記事を参考にランディングネットを編もうと思っている皆さん、もう少しの辛抱です。
渓流用のネットに必要なクレモナ糸の長さはどれくらいなのか、全くの素人が一筆編みランディングネットを編むにはどうしたら良いのか、もうすぐ全てが解明されます(大袈裟)

とりあえず、ダイソーで竹製ものさしを買ってきて、アバリを作っておいて下さい(笑)
不明点があったら、下記コメント欄からお気軽にご連絡下さい。ゼロから自作したので、なんでもお答えできますので。

★2018.2.8追記:
やっとランディングネットを編み終わりました。失敗点もあるけど(笑)

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コメント

  1. この執念には頭が下がります。
    ボクの使っているアバリは、既成の樹脂製のもの。
    生簀網を修理するために人に作っていただいた、竹製のものも持ってはいるけど相当大きめですね。(笑)
    仕上がり楽しみにしていますね。^^

    • kuniさん、こんばんは。
      執念というか、必要にせまられてやってみたって感じです(^_^;)
      たぶん、継ぎ目無しにこだわらなければ市販の樹脂製アバリが使いやすいですよね。
      生け簀の網ですか。それは目が相当大きいでしょう(笑)
      順調に編んでいたつもりですが、ちょっと大きなミスを犯してしまいました。お楽しみに(笑)

  2. こんばんは。
    道具まで作ってしまうんですから。
    ロビンソンクルーソーや15少年漂流記ばりになっても、いけそうですね。
    職人さんは拘りの道具を自作するところから始まるとか・・・、そんな世界で、立派です。

    • マンボウさん、こんばんは。
      道具は本当は素直に買いたいところなんですが、ちょうど良いものが売っていないという状態でして。
      ロビンソンクルーソーも十五少年漂流記も、子どもの頃に夢中で読んでました。今でも、ちょっとそんな体験に憧れているところはあるかもしれません(笑)
      今回はたまたまうまくできたので、自己満足しています(^_^)

  3. あ、安直にステンレスロング網針を買った者です(^_^)
    私も初めは網針作ろうと思ったんですが、とにかく早く編みたくて…。
    それに加えてフレームも作ってまして、網針作成は省略しました。
    ランディングネット作り始めて今年で3年目で毎年二本ずつ作ってます。大分上達してきたところです。
    良いネットが出来上がることを祈ってます。
    ここはどうしたの?とか私のやった方法でよければお答えさせていただきますね。

    • 北のヒデさん、こんばんは。
      いやいや、私も作り始める前に気づいていたら素直に買っていたでしょう。
      フレーム作りもされてるんですか、年2本も作ってるんですね。私もやってみたいです。まだ少し先になるかもしれませんが、その際はまたいろいろ教えて下さい。
      ネット編みは終盤に差しかかって大きな間違いに気づきました。なんと目の数を間違えてました(苦笑)
      とりあえず、最後の二重編みのところで調整してなんとかフレームに取り付けられるようにしてみますが・・・完全形は次回作になりそうです(^_^;)

  4. おはようございます。
    良いですね! 手作り私も好きですね、くり抜きの部分が最大の難関でしたでしょうね。

    • ハックル70さん、こんばんは。
      手作りは大変なこともありますが、楽しいですね。
      ハックルさんのように車のシートカバーまで作るほど器用ではありませんが、今回はたまたま上手くアバリができました。
      おっしゃる通り、くり抜き部分が大変でした。でも、竹は加工しやすいですね。思ったより強度があって削りやすかったです(^_^)

  5. こんばんは。
    恐ろしくズクがありますねー。
    その針は一生物、漆塗りにでもしたらどうですか?
    ネットの完成、楽しみにしてます。

    • 七流釣師さん、こんばんは。
      そうなんです、ズク(うちの辺りの方言)だけはあるんです(笑)
      でも、途中までやって失敗したら諦めてましたけどね。
      漆塗りはちょっと高級過ぎませんか。でも、塗料を塗れば耐久性も上がるかもしれないですね。
      ネット編みは大きな失敗を犯したことに気づきましたが、なんとか実用にはなると思いますので、またアップします(^_^)

  6. 鮎漁に使う網を作るのに、鮎のサイズに合わせて網の目のサイズも違うので竹で自作してました。

    • Nori1022さん、こんばんは。
      鮎漁の網も自作なんですね。鮎だと目もそこそこ細かいだろうし、大きい網を編むのは結構手間がかかりそうですね。
      私はたかだか30cm径くらいの網を編むのに悪戦苦闘していますが(笑)
      竹のアバリも自作してましたか。というか、自分の用途にぴったりサイズのアバリって売ってないですよね。竹はいろんなものに使える素晴らしい素材ですね(^_^)