ドライフライは自然に流れないと釣れない。
渓流のドライフライフィッシングで重要なのは、まず、魚にこちらの存在を気づかれないこと。
これはフライに限らず、ルアーでも餌釣りでも共通の一番大事なことです。
イワナやヤマメ、アマゴはとても警戒心の強い魚なので、岸際を石がガタガタと音がするような歩き方をしたり、迂闊にバシャバシャと水にでも入ろうものなら、足元から魚が逃げ出しポイント全体に警戒心が広まって釣れなくなります。
ドライフライフィッシングで次に重要なのは、浮かべたフライをいかに自然に流すかということ。
仮にフライ(毛鉤)にティペット(ハリス)が結ばれていなかったら、浮かんだフライは流れのままに自然に流れます。ところがティペットが結ばれるとその手前にはテーパーのついたリーダーがあり、さらに手前にはあの太くて抵抗の大きいフライラインがあります。それらが水流に引っ張られ、結果フライも引っ張られる力(ドラグ)が掛かって不自然な流れ方になります。
フライが水面に落ちた瞬間や不自然に動いた瞬間に喰ってくることもありますが、基本的に不自然に流れるドライフライには魚は出ません。
なので、このドラグが掛からない状態(ドラグフリー)でフライを流すことが極めて重要になります。
ドラグフリーで流すにはいくつか方法があって、
- キャスティングしてフライがフライラインに引っ張られそうになったら、フライラインを持ち上げて上流側(場合によっては下流側)に置き直し(ラインメンディングし)ながら流す。
- 魚に気づかれないように注意しながらできるだけ近づいて、フライラインが水面に付かない状態でフライの流れ方に合わせてリーダーを流す。
- ティペットを長ぁーくして、たるみを作った状態で流す。
「3」のティペットを長くする釣法が、『ロングティペットリーダー』です。
渓流ロングティペットリーダー用のフライロッド選び
今まで使っていた6pc(6本継)ロッド AXISCO AXGF763-6(楽天で見る・アマゾンで見る・ヤフーで見る)は仕舞寸法が短くて携帯性が良いので、渓流泊釣行の場合はほとんどこれを使っていました。
お気に入りではあるんですが、硬くてファーストアクション気味のロッドなので、もっとスローアクションで良く曲がるパックロッドが欲しくて検討していました。
候補に挙がったのは次の三つ。
・TENRYU フェイテスパッカー FP763-6(楽天で見る・アマゾンで見る・ヤフーで見る)
・カムパネラ 6753 XC(オンラインショップで見る)
・ユーフレックス インファンテ773-6 NSF(楽天で見る・アマゾンで見る・ヤフーで見る)
フェイテスパッカーはリールをアップスクリューロックでしっかり固定できるし、以前にFFfreakさんからもお勧めだとコメントいただいいたので第一候補だったんですが、TENRYUのサイトの説明を読むとファースト寄りのロッドのようなので今回は除外。
カムパネラ 6753 XCも良さそうなんですが、こちらも「抜けの良いアクション」ってことはファースト寄り? それと、価格が予算オーバー。
あ、そうそう今回の件と関係ないけど、宇田さんのバンブーロッドが生産終了になったようで、それがちょっと残念。
結局のところ、以前からその釣り方に注目していた渋谷直人さんが開発に携わったというユーフレックス インファンテ773-6 NSFを今回は選択。
ロングティペットリーダーを自在に操る|
ユーフレックス インファンテ773-6 NSF
すでに釣行記にチラチラ登場してますが(笑)
ロッドが届きました。新しい釣り具を入手するとワクワクしますね。
ユーフレックス インファンテ773-6 NSF(楽天で見る・アマゾンで見る・ヤフーで見る)
- 長さ:7ft7in(230cm)
- 仕舞寸法:41.4cm(実測値)
- 適合ライン:#3
- 標準自重:42g(実測値)
- 継数:6本
今まで持っていた7ft半くらいのロッドのグリップは先が細くなっているタイプ(シガーなど)でしたが、これは一般的にもっと長尺のロッドに採用されることが多いフルウェル。
親指を前に突き出して握る(サムオントップ)持ち方で力が入りやすいグリップです。
ブランクカラーは落ち着いたブラウン。
ハードクロームガイドは一般的なもの。
フェルールはスピゴッド(印籠継ぎ)。
使う前にフェルールワックス(楽天で見る・アマゾンで見る・ヤフーで見る)を塗っておきます。これを塗っておくとフェルールの固着や劣化を防ぐことができます。
6本継の場合、写真2枚目のAXISCO AXGF763-6(楽天で見る・アマゾンで見る・ヤフーで見る)のように白い点が打たれていると向きが合わせやすくて嬉しいんだけどな。
リールシートはポケット&リングと言われるタイプです。
ロッドエンドのポケットにリールフットを差し込んで、もう一方を金属製の輪っかで締め付けて固定します。
私はアップロックスクリューと言われるネジでしっかり留められるタイプの方が好きなんですよね。このタイプのロッドで何度もリールを落下させたことがあるので (>_<)
ただ、これはリールシートがグリップと一体型のコルク製なので、カムパネラレッドラップのようなウッド仕様のリールシートよりはしっかりと固定できますね。
この一体型のコルク製というのが、耐久性の面は大丈夫なのかやや不安ではありますが。
いつも使っているオービスバテンキルクリックIIをセットしてみました。
ロッドの重量は、あの細いARIVAS iD 783-4よりもさらにさらに軽い42gしかないので、とても軽やかにロッドが振れます。
いつも使っているAXISCO AXGF763-6に比べれば、半分以下の重量しかありません。
スローで良く曲がるのにハリのある軽量ロッド
ヨモギ川釣行の時に、カムパネラ レッドラップ 3753RWと振り比べてみました。
レッドラップは普通に振ると比較的ワイドループになるアクションなのに比べ、インファンテ773-6 NSFの方はもっとバット部から曲がるのに、ハリがあってループをコントロールしやすい印象です。
この時は9ft6Xリーダーに、6Xティペットを3ft継ぎ足した全長12ftくらいのいつものシステムですが、インファンテ773-6 NSFの方が遠投もしやすいです。
家に帰ってから別日に、AXISCO AXGF763-6(楽天で見る・アマゾンで見る・ヤフーで見る)、カムパネラ レッドラップ 3753RW、VARIVAS iD 783-4、そして今回のユーフレックス インファンテ773-6 NSFを振り比べてみました。
いつも使っているオービス バテンキル クリックIIの替えスプールにロングリーダーを巻きました。
15ft6xのリーダーに6xティペットを3ft繋ぎ、全長18ft(5.4m)にしてキャストテストしてみます。どのロッドも全て#3なので、ラインは共通のDT-3Fを使います。
普段渓流では9ft6xのリーダーに7xティペットを2〜3ft繋ぎ、全長11〜12ft(3.3〜3.6m)のシステムにしているので、「リーダー+ティペット」の長さが普段より1.8〜2.1mほど長いことになります。
ティペット先端には、フライの代わりにオレンジ色の毛糸を結びます。
メジャーで5m、10m、15mの位置を計って目印を置きます。
一番メインとなる10mの位置には水を入れたバケツを置いてみました。
それぞれの距離をターゲットにしてキャスティング。
AXGF763-6は、ブランクが太くて硬めのミディアムファーストアクションなので、ロングリーダーは扱いにくいです。
レッドラップ 3753RWは、自然でなめらかなカーブのミディアムアクションで10mくらいまではとてもスムースにキャスティングできますが、15mのキャストはちょっと厳しいです。
iD 783-4は、この中でもっとも細身のブランクでシャープな印象ですが、胴に入って曲がるアクションです。
10mくらいまでは問題ないですが、それ以上になるとロッドパワーが足りない印象。
インファンテ773-6 NSFは、この中で一番スローなアクションで胴から曲がりますがグニャグニャした感じはなく一本芯が通っているような感じがします。
重さはiD 783-4やレッドラップ 3753RWよりもさらに軽いので、軽快なキャスティングができます。
12mくらいまではとても楽にきれいなループを描いてキャストでき、ロングティペットリーダーもターンオーパーさせることができます。いわゆる“舟形ループ”も作りやすいです。
このロッドの中では一番ロングキャストもしやすく、ピンスポットのコントロールは別にすれば15mのキャストもそれほど難しくないです。
公園内の遊歩道を川に見立ててキャスティング。
胴が曲がるアクションですが、ハリがある感じなのでメンディングもしやすいです。
ユーフレックス インファンテ773-6 NSFまとめ
一言で言うと、このロッドはとても気に入りました。
バンブーロッドに近づけたアクションで、ロングティペットリーダーでも気持ち良く楽にキャスティングができます。
胴から曲がりますが、グニャグニャではなくハリがあるブランク。絶妙なバランスで仕上がっていると思います。
すでに何度か実際に渓流で使っていますが、魚が掛かってからのロッドの曲がりも良いので細いティペットでも安心してやりとりできるのは特筆すべき点です。
ロングティペットリーダーでなくても使えるし、6pcでコンパクト。
これからこれが私のメインロッドになりそうです。
ロングティペットリーダーを始めようと思っている人には、iD 783-4よりもインファンテ773-6 NSFの方をお勧めします。とにかく扱いやすいです。
ロングティペットリーダーの可能性
ロングティペットリーダーについては、上記のiD 783-4とVARIVAS Super Yamame をすでに使ってみていますが、今回のリーダーはそれとは少し違う使い方が必要だしキャスティングもちょっと違う方法論なんですよね。
VARIVAS Super Yamameの場合は、リーダーのみで至近距離のキャスティングが可能ですが、今回使ったLDL(楽天で見る・アマゾンで見る・ヤフーで見る)は極至近距離は厳しいです。ある程度フライラインを出さないとシビアなコントロールができません。
動画で渋谷直人さんの実釣の様子を観ましたが、ロングティペットをあれほど自在に扱えるのは驚異的です。
あれだけ繊細にコントロールするには、まず自分に最適な「リーダー+ティペットの長さ」を見つける必要があるし、練習も必要になります。
私が良く行く渓相で、ロングティペットリーダーが必要かと問われれば必ずしも常にそうではないし、むしろショートリーダーの方が有利だという場面もあります。
ただ、いざとなればロングティペットを駆使できる技術を身につけておくことは、状況によっては強力な武器になることは間違いありません。
渓流ベイトフィネスやチェコニンフ、テンカラなどもそうですが、やってみると釣りの幅が広がります。
ラインシステムを含めロングティペットリーダーのキャスティングについては、また後日詳しく書きます。
コメント
おはようございます。
バンブーのテイストなのですね。
タカタバンブーを持ってますが、バンブーのノリ感ならわっかりました。
確かにその点でテンリュウはファスト感を感じます。
(ワダチは昼も夜も藪・茂みが好きだから、こうなるのネ・・・)
カーボンロッドでは他にシマノがスローアクションだったと感じました。
米国製カーボンロッドにはまずないアクションかな。ただグラスロッドだとスローになるとは思います。フェンウィックFF856-5pは#6ながらそう感じます。
先週までは厚手のセーターで釣りしたのに、今週は半袖で行けそう。
ニンフの期間がもうないわ。
FFfreakさん、こんばんは。
そうですね、開発に携わった渋谷直人さんはバンブーロッドビルダーでバンブーに近いアクションを目指して作ったのがグラスマスターという竿で、それをもう少し扱い易いようにカーボングラファイトで作ったのがこのロッドらしいです。
藪沢の場合はファストアクションの方が良いですよね。昼も夜も茂み好きって(笑)
グラスロッドは私も以前1本使っていたんですが、一日振ると重さがどうにも堪えてしまって・・・
日中は暑いくらいになってきましたね。ドライフライのシーズンです (^_^)
キャスティングが下手な私。ロングリーダーロングティペットで投げていると、結び目が増えていきます 10年以上前の竿ばかりなので、今の竿の振った感じってどうなんでしょう?
Kさん、こんばんは。
私もキャスティングは下手なんですよ(笑)
フライフィッシングを始めた当初だったらとてもロングティペットリーダーは投げられなかったと思いますが、少しはキャスティング技術が向上したことと、何よりこのロッドだとそこそこ長いティペットでもトラブルなくターンオーバーさせることができます。
今のカーボンロッドは細くて軽いだけでなく、低弾性の素材を使うと竹竿に近いフィーリングも出せるようです。このロッドは私にはとても扱い易い絶妙なアクションに思えます (^_^)
インファンテ、良いロッドですよね。^^
我が家にも初代インファンテ#3、7.0ftが1本あります。
息子が小学校低学年の時に、とにかく軽い竿が欲しくて選んだのですが思った以上に良いロッドだった印象があります。
パーツが若干チープだったり、ガイドラップが少々雑だったりと、ユーフレックスの上級機種に比べちゃうと物足りないところもあるにはありますが、コストパフォーマンスの高さは相当ですよね。
因みに子どもが雑にやり取りしても、管釣りのニジマスに折られてしまうことはありませんでした。
ただしラインを絡めたまま振り回して、ティップは折れましたけど・・・^^;
ボクが今年から使っているファールドリーダーは全長を長くし辛い(作る際に治具の長さに限界があるので)のですが、ナイロンリーダーに比べてバット部のしなやかさがあるので、同じ長さであれば使い方によってはファールドリーダーの方がナチュラルドリフトさせやすいこともありそうです。
ただ、当然ながらどちらも一長一短あるので、使い分けができればベストなのでしょうね。
兎にも角にも、まずは練習あるのみです。(笑)
kuniさん、こんばんは。
フライフィッシングを始める人が一番最初に手にするろっどは、やはりTIEMCOがお勧めですね。
私は初めてTIEMCOのロッドを手にして、NSFというインファンテの中ではちょっと特殊なロッドですが、その素直なアクションはとても扱い易いです。コスメは高級品には及びませんが、実用性は十分ですよね。
ファールドリーダーはターンオーバー性が高いように思うので、そこそこ長いティペットもいけそうな気がしますが、どうなんでしょ。
ロングリーダーティペットのキャスティングは難しくて面白いので、練習のしがいがあります (^_^) また沼にはまっちゃったかも(笑)
僕は密かにユーフレックスJストリーム持ってます。マジで流れに引っ張られたら出ないですよね、知らないので最初どれだけ頑張ってもカスリもしませんでした。
Nori1022さん、こんばんは。
「密かに」ね(笑)
Jストリームの中にも欲しいロッドがあるんですが、これ以上の散財は生活に支障を来すのでしばらくは自粛します。
そうなんですよねー、不自然に引っ張られると出ないんですよねー。
そのくせ、金ピカで明らかに不自然なルアーには猛ダッシュしてきたりするのが、不思議で仕方ありません (^_^;)
こんばんは。
釣りの楽しさは、道具や仕掛けをいろいろ工夫して楽しむ瞬間があると言う事ですね、私等年寄りにはお金もなく道具はあり合わせの物でただ魚を得るための釣りでしたから、今の時代の釣り全体を楽しむ釣りに変わって来ていることは、環境とか資源の関係で良い事かもしれませんね、それにしても知識が豊富ですね感心します。
ハックル70さん、こんばんは。
釣り堀のように毎回毎回入れ食いだと、それはそれで面白くないので適度に難しい方が(その適度にっていうのが重要なんですが笑)面白いですよね。
そして、なんとかもっと釣れるようにならないかと、あーでもないこーでもないと頭を悩ませたりするが釣りという趣味の面白さですね。やはり一生飽きることにない趣味なんだと思います。
調べてわかったことを書いているだけで、知識はないんですよ(笑)
とても良さそうなロッドですね!
何故普及ラインのインファンテでNSFなのか、微妙に感じていたのですが、本気でロングリーダー流行らせるつもりなんでしょうかね@TIEMCO
バーサス魚紳さんの件もそうですが。。。
Keymanさん、こんばんは。
ええ、このロッドのアクションはとても気に入りました。しかもとても軽いので、一日中振っても疲れ知らずです (^_^)
私もNSFがインファンテラインから出ているのが謎なんですが、そのおかげか比較的お手頃価格で入手できたのは嬉しいです。
私がNSFを買おうと思っていたら、『バーサス魚紳さん』に渋谷さんが登場するし、TIEMCOの策略にまんまとはまっている私(笑)