今年はテンカラ釣りに集中した年でした。
テンカラ釣りの面白さや、他の釣り方に対しての優位性がわかってきましたが(逆に弱点も)、フライフィッシングでは狙いにくい強い流れの向こう側や、複雑な流れに囲まれたピンスポットに毛鉤をズバッと打ち込んで魚を引き出して掛ける、その面白さに取り憑かれてしまったのです。
今年、主力で使った毛鉤はニセ・スギッパ巻きです。
この毛鉤、ストリップドピーコックを使った胴にヘッドセメントでコーティングして仕上げていますが、この部分の耐久性が低いんです。
よく釣れる毛鉤なので、魚の歯にやられるってこともあるんですが、たたき釣りで何度も水面に強く毛鉤を打ち込んでいるだけでも胴が傷んできてやがてストリップドピーコックが千切れてしまいます。
この胴をなんとか強化できないものか。
強化型ニセ・スギッパ巻き(V-RivとUNI-Flexx)
V-Rivで虫らしい胴を巻く
ニセ・スギッパ巻きの記事にハックル師匠からコメントいただいて、
「胴の先端は傷みやすいのでストリップドピーコックの代わりにユニフレックスを使っています」とのことだったので、検索してみたんですが、ユニフレックスなる物が見つかりません。
手持ちのフレックスボディーレースやV-Rivでも耐久性もあるものにはなりそうなので、とにかく巻いてみよう。
ハリは今のところ、オーナーの桑原テンカラと本流テンカラを使っています。がまかつの「テンカラ専用」も平打ちで重さがありそうなので、今後試用してみます。
ハリに関してはそのうちにコスパの高いMARUTO製を使おうかとも思っていますが。
とりあえずはV-Riv(チョコブラウン)とHENDSのヘアダビングプラスを使って巻いてみます。
このダビング材は、以前チェコニンフ用に購入したものです。
ハリは本流テンカラの6号を使いました。二段蓑毛の場合、フトコロが狭いとハリ掛かりが悪くなるせいかバラシが多い気がしたので、フトコロの広い本流テンカラを使っています。
基本的な巻き方はニセ・スギッパ巻きと同じです。
V-Rivは片面が平らになっているので巻きやすいですが、復元力が強い(力を入れないと伸びない)ので、尾の先端部(巻き始め)を上手く巻くのに苦労します。
胴の虫っぽさは良く出ていますね。
仕上がりは上々で、実際に使ってみたら耐久性は十分。ロストしたり針先が鈍ったりしない限りは一日中使えます。
UNI-Flexxを使って虫の体節を表現する
上記ユニフレックスなる物については、師匠に問い合わせしておいたら返答いただけました。
ヤフオクで入手可能とのこと。
↓2022年10月初旬現在こちらで販売されています。
よく見てみると、スレッドの定番「UNI」の製品じゃないですか。
でも、日本国内では扱いがないらしく、販売しているショップも見当たりません。
とにかく使ってみたいので上記ヤフオクから購入しました。
UNI-Flexx(ユニ・フレックス)
在庫色から三色選んで1,050円でした。
私はグレーとキャメル、オレンジの三色を選びました。本当はホワイトが欲しかったんですが、品切れでした。
↓他にはこのサイトでも販売していて1巻155円と廉価ですが、なんとポーランドのショップなんですよね。もちろん国際郵便で発送はしてくれますが、何か他の高額商品と一緒に買わない限りは送料が高いので現実的ではないです。
写真1枚目の上がUNI-Flexx、下がV-Riv。
V-Ribは単線の伸縮素材ですが引っ張ってもそれほど伸びません。UNI-Flexxは、よく見ると極細の繊維がまとめられているような感じで、かなり伸びます。軽い力で伸びるのでV-Rivより扱いやすそうです。
ニセ・スギッパ巻き強化型
・フック:オーナー本流テンカラ6号
・スレッド:ユニスレッド6/0(黒、赤)
・ハックル:コックネック(ブラック)
・ソラックス: HENDS ヘアダビングプラス(ブラウン)
・ボディー:ユニスレッド(黒)+ユニフレックス(グレー)
・ウェイト:レッドワイヤーNo.1
オーナー本流テンカラ6号を使います。
最初にレッドワイヤーを10巻きしてから、ブラックのスレッドでテーパーボディーを作るのは同様です。
ユニフレックス(グレー)を10cmほどにカットして、胴の後端に取り付けます。
少し引っ張りながら螺旋状に巻いてスレッドで固定。
#16サイズのハックル(ブラック)を取り付けて3回転して固定。
腹部にダビング材を巻きます。
#12サイズのハックル(ブラック)を3回転して固定。
レッドのスレッドに変更してヘッドを成型して、ヘッドセメントで固定したら出来上がり。
キャメルやオレンジでも巻いてみました(これはオレンジ)。
キャメルよりもオレンジの方がはっきりとした陰影が出ます。
すでに実釣に使ってみましたが、こちらも耐久性は十分で、ロストしない限りはこの一本だけで一日中釣ることが可能です。
ドライフライフィッシングでは一本のフライだけで一日中釣るなんてことはできないので、これは凄いことです。フライの結び替えや浮力材処理などに時間を割くことなく、ポイントに毛鉤を打ち込むことだけに専念できます。
ただ、無駄に思える煩雑な作業自体を楽しむことこそが、フライフィッシングの醍醐味。という考え方もあります。
フライフィッシングとテンカラ釣りは似て非なるもの。それぞれに有利な場面と苦手な場面があるし、根本的な釣り方の違いもあります。その辺りについては今シーズンが終わったので、近々まとめたいと思います。
ところで、このユニフレックスというマテリアル、Googleで「フライタイイング ユニフレックス」「フライタイイング Uni-Flexx」で検索しても何もヒットしないので、日本では全く知られていないんじゃないでしょうか。それをテンカラ毛鉤に使うとはさすがハックル師匠。
ユニフレックスはアイディア次第でいろんな使い方ができそうです。他の色も揃えてみようかな。
コメント
おはようございます
毛鉤ってのは、使用に伴って、ハックルが千切れて毛無になるのかと、勝手に思っていました。
今回の胴をキチンとテンションを掛けながら巻く為の素材の記事を読むと、毛鉤自体が解けてバラバラになってくる感じなんでしょうか。
いずれにしても、まさにクラフトの世界で奥が深そうですね。
マンボウさん、こんばんは。
今回使用したコックネック(雄の鶏の羽)は張りがあってかなり強いんですよね。ファイバーが千切れるよりも前に巻いた羽軸が切れて解けてしまうことが多いです。
胴の部分も孔雀の羽軸で巻いたものは耐久性が低いので何尾か魚を釣っているうちに切れて解れてきてしまいます。
今回の素材はかなり強度があるので、簡単には解けないとは思います。
マテリアルに対する拘り・・・これがあると、更に毛鉤を作る楽しさが倍増しますよね。^^
だからマテリアルボックスは、すぐに一杯になって溢れかえる。(笑)
見るからに耐久性と実用性を兼ねた、そんな銘鉤だと推察できますね。
kuniさん、こんばんは。
テンカラ毛鉤の場合はまだ良いんですけど、フライになると本当にいろんなマテリアルがありますからね。楽しさと比例してマテリアルの量が半端ないものになってきます(笑)
テンカラ毛鉤はできるだけ自然素材で仕上げたいという思いもありますが、人工素材の強度と扱いの良さも捨てがたいです。
こんにちは。
きれいに巻けていますね、流石です、欲を言えば、ユニフレックスの下巻部分は8/0がきれいに巻けて螺旋も等間隔に巻く事が出来ます、以前はその部分をヘッドセメントでさらに補強していましたが、ユニフレックスの素材とヘッドセメントのシンナーが科学反応で弱くなる心配が有りますので、今はそのままです、強度には全く影響ないですね。
二段目は少し薄めに2回位巻く位にした方が良い感じです、もともと妻の伯父さんが使っていて義兄が伝承していた毛ばりはレネゲイド風で、義兄が言うには二段目は足を連想させるためだとか、私は掛かりを良くする為シャンクを短めにして作ったのがスギッパ巻きです。
釈迦に説法的ですが、参考になれば幸いです。
ハックル70さん、こんばんは。
ハックルさんのおかげで、自分で巻いた毛鉤でもそこそこ釣れるようになってきました。
下巻きのスレッド、二段目の蓑毛の件、改良して巻いてみます。ありがとうございます。義兄さんが使われていたというレネゲイト風にも興味があります。以前、ハックルさんが巻いた記事も拝見していますが、あのスタイルも何か惹きつけられるものがあるので、来シーズン試してみたいです。
今後ともご教授よろしくお願いいたします。