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ランディングネットの木枠作り|その7…塗装(完結編)

ランディングネット作り
この記事は約12分で読めます。

前回は、全体を削って形と表面を整えて塗装前の準備は完了しました。
ダイソーのハンドサンダー、ドライバードリルに装着するドラムサンダーのおかげで研磨工程はまずずの仕上がりになりました。

今回は、いよいよ最終回! 塗装工程に入ります。

その前に、ウレタン塗装とオイル仕上げ違いについて再確認。

ウレタン塗装とオイル仕上げの比較

(1)オイルフィニッシュの特徴。

【長所】
・簡単に仕上げられる。
・塗装時に有害物質を使わないので安心、安全。
・時々塗り重ねれば、時の経過とともに味が出てくる。
・フレームに傷が付いても簡単に削ってオイルを塗り直すことができる。

【短所】
・塗装膜がないので木部まで傷がつきやすい。
・厚い塗装膜はできないので、フレームの強度アップはできない。

(2)ウレタン樹脂塗装の特徴。

【長所】
・塗装膜を研磨するとツヤツヤのきれいな仕上がりになる。
・厚くて頑強な塗装膜ができるので、フレームの保護・強度アップ効果が高い。
・傷がついても塗装膜を削り落として再塗装すれば、新品同様に補修できる。
・塗装膜の下に、シールなどを埋め込むこともできる。

【短所】
・塗料に有害物質が含まれているので、換気などに最新の注意が必要。
・何度も重ね塗りしたり研磨したり、オイル仕上げとは比較にならないほど手間がかかる。
・オイル仕上げに比べてコスト高。

ウレタン塗装は本当にツヤツヤのかっこいい仕上がりになりますが、これも良し悪しで飾っておく分には良いけど、普通に使っていて少しぶつけたりするとそこが白化して次第に汚くなってきます。それを補修するには全体の塗装を削り落として再塗装するしかありません。

その点、オイル仕上げは時々オイルの塗り込みをしておけば、仕上げ時の状態がずっと保持されます。仕上げ時の状態というか、オイルの塗り込みを続けていけば色に深みがでてさらに雰囲気は良くなるでしょう。ただ、厚い保護膜があるわけではないので、傷を防ぐことはできません。

今回は、前回のウレタン塗装の復習ということで、ウレタンでいこうと思います。

ウレタン塗装については、古くなって傷だらけになった古いランディングネットの塗装を削って塗り直すというのをやっているので、工程自体はそちらと同じです。というか、古いウレタン塗装を削り落とすのがかなり大変だったので、ゼロから塗る今回の方がたぶん楽だと思います。

自作ランディングネットをウレタン塗装して仕上げる

木彫オイルを塗って木目を際立たせる

 
まずは、失敗した穴を木工パテで埋めたところがグリップ材に比べてかなり白っぽくて目立つのでこの着色ニス(カラーは新けやき)で塗って補修。

 
洋灯吊というこの金具をヒートン用の穴にねじ込んで仮の持ち手にします。
これがないとグリップエンド付近に塗料を塗る時困るので。

 
写真1枚目の黄色矢印が着色ニスを塗った穴の跡。濡れた布で拭いて確かめてみてると意外と目立たなくなったかも。
塗装の第一段階として、木彫オイル楽天で見るアマゾンで見るヤフーで見る)を塗ります。

ちょっと高いですが、木固めエース(購入はこちら)という塗料は木質を強化できるので木彫オイルの代わりに使う方も多いみたいですね。

 
刷毛は前回同様これを使います。#100程度のサンドペーパーに当てて、抜け毛を除去します。

 
木彫オイルを少しだけ取り出し、刷毛で塗ってきます。

 
フレームの外、内、グリップエンドなど塗り残しが無いように塗ります。
柔らかい布で木に刷り込むように拭きます。


オイルを塗り終わったところ。オイル仕上げの場合はこれを何回か繰り返せばいいのかな?

 
テカテカと光を反射はしないけど、この落ち着いた仕上がりもいいよね。
ランディングネットはまだいくつか作るつもりなので、次回はオイル仕上げにします。
あっ、ここで一つ問題が。
写真2枚目の黄色矢印のところ、例の木工パテに色を塗ったのが落ちちゃってる。そうか、油性の塗料だからオイルで拭いたら落ちちゃったんだ。

 
ともかく、一旦このまま吊して一晩乾かします。

 
再度木工パテのところに着色ニスでごまかし塗り。

サンディングシーラーで木部の凹凸をカバーして平滑に

 
#400のサンドペーパーを軽く掛けます。ごまかし塗装したところもささっと軽くペーパー掛け。
綺麗な布で拭きます。

 
前回はAkasakaさんから購入したAkasakaさんから購入したサンディングシーラー(ご購入はこちら)を使いましたが、3年も放置しておいたら主剤と硬化剤が固まっちゃって使い物にならなくなっていました。
仕方ないので、今回はホームセンターでワシンのラッカーサンディングシーラー楽天で見るアマゾンで見るヤフーで見る)というのを買ってきました。
これをちょこっと取り分けまして、

 
濃度が高そうなのでラッカーうすめ液で少し薄めて、刷毛で全体に塗ります。

 
全体に塗ったら乾かします。1時間塗ったら乾かして、また重ね塗りします。
3回塗りにしました。

 
花梨瘤のグリップには細かいひび割れや写真1枚目の黄色矢印のような窪みがあったりします。
窪みのところは細筆で窪みを埋めるようにサンディングシーラーを垂らします。乾かすとまた痩せて凹んでしまうので、何回か繰り返し少し盛り上がるようにします。

 
フレームの穴が埋まってしまったので、ピンバイスに穴開けの時と同じ1.4mmのドリルをセットして手動で穴掃除。
写真2枚目黄色矢印のように垂れて一部盛り上がってしまったところがありますが、これは削れば全然問題ないです。

 
ぼてっと盛り上がった部分はハンドサンダーを使って、その後全体をペーパーに水を付けて削ります。ペーパーは#400です。

 
もちろんフレームの内側、外側、それから溝も少し埋まって浅くなっているのでペーパーをゴシゴシ掛けます。

 
時々布で拭いて、削り具合を確かめます。艶がある部分が残っていれば削り足りない証拠です。
全体がつや消し状態になればOK。

ウレタン塗料を塗り重ねて研磨する(1セット目)

 
ウレタン塗料を塗る前にヒートンを付けちゃった方が良いような気がしたので、フレーム材を接着したのと同じ二液エポキシで接着します。

 
爪楊枝を使って接着材を穴の中に塗り(ヒートンを押し込んだ時に多少はみ出てくるくらにたっぷり)、ヒートンをぎゅーっと押し込んで一晩置いておきました。

本当は、洋灯吊を付けたままウレタン塗装をして、その後ヒートンを付けた方が作業しやすい気がします。

 
前回同様、針金でこんな持ち手を作りまして、いよいよウレタン塗料の登場です。
これもAkasakaさんから購入した物ですが、こちらは3年経っても全く品質に変化は無さそうで、このまま使えます。

 
主剤:硬化剤:シンナーの割合は、前回同様3:1:5でいきます。
小さいティースプーンで掬って計量してよくかき混ぜます。
1セット(5〜7回塗り)塗るのには、小さいティースプーンで3杯+1杯+5杯で足ります。

3:1:5だと垂れが多くなる気がするので、3:1:4くらいが良いかもしれません。

 
遅過ぎず、速過ぎずのスピードですーっと塗っていきます。遅すぎると塗り後が付きやすくなるし、速すぎると気泡が入りやすくなります。
同じ箇所を何回も刷毛でペタペタやるのも良くないです。できるだけ1回ですーっと塗っていきます。
塗り残しなく全体が濡れたら、ぶら下げて乾かします。
気温20℃なら20分くらいで触れるくらいには乾きます。今回は冬だったのでエアコンを掛けて室温を保ちました。換気にも注意です。


触れるようになったら、また同様に塗って乾かします。これを5回繰り返します。
途中濃度が高くなってきたらシンナーを少し追加します。
塗る時間と乾かす時間を足すと、5回全部終わるのに1時間半から2時間くらいかかります。
1セット終わったら、そのまま一晩乾燥。

 
乾燥すると塗装面はかなり硬くなっていますが、表面は結構ザラザラがあります。ちょっと塗りの時のスピードが速すぎて気泡が入り気味だったかも。
#800のペーパーに水を付けて研いでいきます。

 
表面が平滑になるまでひたすら研いでいきます。

 
途中で布で拭き取って磨き具合を確認。
光を当ててみて、全体が研げているか確認。写真2枚目のように、光が反射する部分があるようならまだ研ぎが足りません。ひたすら頑張ります。

 
ウレタン塗料を研ぐと、粉が出てこんな風に手が真っ白になります。
フレーム外側もまだまだ研ぎ足りない。

 
溝の中も忘れずに研磨。
研ぎ終えたら一度水で洗います。フレームの穴に詰まった削りかすは、歯ブラシを使って洗い流し、全体をしっかり拭き取ります。


全体が平滑なつや消し状態になりました。

転写シールを使ってネームを入れる(おすすめしません笑)

 
エーワン転写シール楽天で見るアマゾンで見るヤフーで見る)を使ってネームを入れます。
プリンターで左右反転印字。
転写シールについては、以前の記事にも詳しく書いています。

 
ドライヤーで乾かして、文字の周りのカット。前回と文字を変えたので真ん中の余白もくり抜いてみました(写真2枚目黄色矢印)。

 
木っ端に転写テスト。貼り付けた上から、水を付けたティッシュでシール全体を濡らします。
そして、そーっとシールをずらしていくと・・・あれ? なかなか剥がれない。力を入れてぎゅーっとやると、木っ端表面がザラザラしているせいか、形が崩れちゃった。

 
ウレタン塗料を塗って表面を平滑にしてから、再度。
今度はうまくいきました。デザインも少し変更。

 
ネームを転写します。上記テストと同様に位置を決めて貼り付けたら上から濡らして、指で押しずらして転写完了。これ、やっぱりちょっと文字の余白部分が角度によっては目立つなぁ。まぁ、いいか。

ウレタン塗料の2セット目、さらに3セット目を塗る


ここから、ウレタン塗装2セット目。
前回やった時には転写ネームの上の塗装が浅かったので、今回は7回塗りにしました。塗り方は1セット目と同様です。そしてまた一晩乾燥して#800ペーパーで水研ぎ。

3セット目も同様に7回塗りして、一晩乾燥。

コンパウンドを使って仕上げの磨き

 
ここで、針金ハンドルは取り外します。


塗装の終わったランディングネット。このままだって実用上は問題ないけど、ここから綺麗に磨いていきます。

 
塗料が穴に詰まっているので、再度ピンバイスと1.4mmドリルで掃除。

 
ヒートンの付け根付近に塗料が固まっているので、カッターナイフでちょっと整えます。

 
#800ペーパーに水を付けて研いでいきます。

 
ひたすら磨いて、途中で水で洗って状態確認。

 
光る部分が無くなって平滑になるまでひたすら研磨。

 
全体が綺麗なつや消しになったら、ソフト99のコンパウンドシリーズ楽天で見るアマゾンで見るヤフーで見る)の極細で磨きます。

 
最初に極細コンパウンドをパッドに付けて磨き、その後Akasakaさんの仕上げ用コンパウンド(購入はこちら)で磨きます。
どこまで磨くかはその人次第です。
「どこまで磨くとか」と言うよりは「どこで妥協するか」と言った方が良いかもしれません(笑)
ともかく自分が納得するまで磨いて下さい。

感慨ひとしお、自作ランディングネットが完成しましたー!


完成しました! 自作ランディングネット第一号!


反射している状態を写真に撮るのって難しいね。
そもかく、ツヤツヤピカピカになりました。
ただ、撮った写真をよーくみると、まだ研ぎ後が線状に少し残っていますね。
この後、もう少し磨いてみよう。


いくつか気になる点も。
黄色矢印の例の穴開け失敗をごまかしたところ。これは以外とうまくごまかせていて、よーく見ないとわからない程度にリカバリーできているので、まぁ良しです。
もう一つは、転写シートのネーム(赤矢印)。これは前回も分かっていたのに今回も同じように使ってしまいましたが、これって角度によって文字余白のシール部分が白っぽく見えるんですよね。まぁ、これはシールの仕様なので仕方ないんだけど。


フレーム部分はほぼ完璧。


握り心地もいい感じですねぇ。手にしっくり馴染みます。
次回はグリップを少し長くして、ネット枠もあと2cmくらい大きくしようかな。
そして、も少し角に丸みを持たせたデザインにするかも。


いやー、かなり手間が掛かりましたが、自分としては納得できる仕上がりになりましたー!
ありがとうございます! これにて、ランディングネット自作編、ランディングネット編みと合わせて完結です。

あとはネットを取り付ければ、渓流に持ち出せますね。いやー、長かったぁ。

ランディングネット作りは、まだ試したいことがいろいろあるので、これからも続けます。すぐに次回作に取りかかるというわけにはいきませんが。

ランディングネット(木枠)自作のまとめ

まず、最初に言っておきたいことがあります。
ランディングネットを編むのは自分でやるのはお勧めできますが、木枠(フレーム)を自分で作るのは想像以上に手間が掛かるし道具や材料類を揃えるのも大変です。「自分で作った方が安上がり」という気持ちで手出しするのはおすすめしません。

これだけ、何章にも分けてこと細かに書いてきたのにおすすめしないんかい!

ええ、労力を考えるととても安上がりとは言えません。渓流サイズなら2万円ちょっと出せばかなり高級な仕上がりの銘木ランディングネットを買えるので、その方が良いでしょう。
ただ、自分で自分の好きなように作り上げた達成感と満足感は正にプライスレス。それを味わいたい人のみ挑戦してみて下さい。
一度やってみるとやみつきになるおもしろさがあることは確かです。最初はちょっと大変で挫折しそうになるかもしれないですが、それを乗り越えて頑張ると、「次はここをこうして、こんな風につくってみよう」という気持ちになります。

私常々言ってますが、ランディングネット作りに限らず何か新しいことに悪戦苦闘しながら挑戦経験は、必ず他のジャンルにも生かすことができます。
例えば、それが全く関係ないように見えるジムニーの修理だったり、あるいは料理だったり、何かを作り上げる核になる部分って全部共通している気がするのです。

ランディングネット自作 ポイントと反省点

全行程を通して自作してみて、ポイントとなる点がいくつかあります。

  1. フレームを曲げる時はフレーム型に合わせてできるだけしっかり曲げておく。
  2. フレームの接着はフレーム材それぞれが極力ずれないように気をつけてしっかり固定する。
  3. グリップ材が合わさる部分の穴開けは、外側から一発で開ける(治具等検討の必要あり)。
  4. 材料のヒビや窪みはサンディングシーラーで平滑になるようにしっかり埋める。
  5. ウレタン塗料を塗る時の刷毛の動かし方は遅すぎず、速すぎず。
  6. 1セット(5〜7回)塗装後は、全体がつや消しになるまでしっかり研磨する。
  7. 転写シートは使わない方がよい。ネームを入れるなら手描きか、焼き印がお勧め。
  8. ランディングネット(木枠)を作るなら、温暖な春か秋がお勧め(特に塗装工程)

・・・つづく(えっ、まだつづくの?笑)

後日追記:つづきはこちら↓

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コメント

  1. こんばんは
    コングラチュレーション です。
    根気よく、良くここまで。
    貫禄があって、それでいてスタイリッシュ。

    • マンボウさん、こんばんは。
      ありがとうございます! なんとか完成まで漕ぎ着けました。
      私せっかちですけど、根気はあるかもしれません。総じて長野県人は根気がある人が多いかも(笑)
      今回失敗したところや納得いかないところもあるので、次回は自分の思い通りの物になるようにがんばってみます ^_^

  2. 凄~い プロが作ったみたいな光沢‼️ 何本か作ったら売れる位の腕前になりそうですね

    • Kさん、こんばんは。
      ありがとうございます!
      プロとまではいきませんが、まあまあ自分としては納得できる仕上がりになりました。
      売るとなるともっと完成度高めないと厳しいと思います。それ以前に、売るとなると労力考えるとかなり高額にしないと(笑)
      今後も趣味として作り続けます ^_^

  3. さすが凝り性さん、こだわりの仕上がりですね。^^
    ネットを取り付けたら、完全に穴の補修後は分からなくなりそうだし。
    ボクはネーム入れはつけペンで手書きしてました。
    気合い入れてやれば、意外と失敗はしないものですよ。(笑)

    • kuniさん、こんばんは。
      そうなんですよ、私凝り性なんですよ。大体こだわりすぎてろくなことないです(笑)
      今回は少し納得いかないところがあるので、次回はさらに自分の理想に近づけたいと思います。間隔が開くと今回の反省を忘れてしまいそうなので、早めに少しずつ進めたいと思います。

      ネーム入れはやっぱり手描きがいいですかね。私、一発勝負に弱いので失敗しそうですが。
      次回、がんばってみます ^_^

      • 下塗り後にネーム入れするなら、インクにもよるけど失敗してもサッと拭いて書き直しも可能ですよ。

        • kuniさん、こんばんは。
          失敗しても拭き取れるなら、安心ですね。ありがとうございます。
          納得いくまで何回も書き直しそうな予感(笑)