私、何かをコレクションするという趣味はないです。
世の中にはいろんなコレクターがいて、お金持ちだと車や時計なんかをコレクションしている人もいるし、昔からあるものだと切手や古銭とか、本来価値のない箸袋やカップ麺のフタなんていう面白いものを集めている人もいますね。あと、この冬出会った石拾いお爺さんとか(笑)
もちろんキャンプ道具のジャンルでコレクションしている人もいるでしょう。
私もクッカーはたくさん持ってますが、いろいろ試していたら増えてしまったというのが実情で、別に集めているわけじゃないです。
火を燃やすためのもの(焚き火台やバーナー)もいろいろ持ってるけど、それは用途別に必要なので持っているだけだし。段々言い訳がましくなってきた(苦笑)
そんなわけで実用以外では物を買うことがあまりない私ですが、唯一必要以上に買いたくなってしまうものがあります。
それは、ナイフです!
ナイフってどれもそんなに違わないように見えるでしょ。
外観的には、一体型のシースナイフと折りたためるフォールディングナイフの二つに分かれますが、ブレード(刃)の形やサイズはいろいろあるし、ハンドル形状やその材質も様々。
ブレードの鋼材は大きくは炭素鋼とステンレス鋼の二つに分かれ、これがまたそれぞれの中に本当にたくさんの種類があって、焼きの入れ方や刃の付け方で切れ味や耐久性、研ぎやすさも変わってくるんですよね。
つまりはスペックや価格だけではなく、実際に手で握って使ってみないと良し悪しがわからないんですよ。
それは、原始的で単純な道具だからこそなのかもしれません。
だから、ナイフをネット検索でもしようものなら、これも使ってみたい、あれも使ってみたいと際限無くなってしまうのです。実店舗のナイフ屋さんはもっと危険なので近づかないことにしています(笑)
私は今現在いくつかのナイフを持っていて、どれも比較的安価なものです。
紛失したのが悔やまれる、アルマーザイテル
その中でもお気に入りだったのが、中学生の頃、いや高校生の頃かな、釣具店で買ったこのナイフ。
リョービから販売されていましたが、なんとこれはAL MAR(アルマー)なんですよね。
ブレードはステンレス(鋼材は不明)でハンドル材は鉄よりも強靱と言われるザイテル(ガラス樹脂などで強化したナイロン樹脂コンパウンド)製。
薄くて軽くて信頼性の高いロック方式(これはフロントロックに分類されるかな)。釣った魚を捌いたり、野菜を切ったり調理用にとても重宝していました。
これを紛失してしまってから、代わりに購入したのが、かの有名なオピネル。
オピネルは魚を捌くのには使えない理由
ハンドルが木製で、形状も手のひらにしっくり収まってとても握りやすいです。
私は炭素鋼タイプを買いましたが、ステンレスタイプもあります。
炭素鋼は錆やすいので黒錆加工もしましたね。
黒錆加工はあくまでも表面加工なので、研ぐたびに黒錆加工は削れてきてしまうんですが。
切れ味は良く、研ぎやすいのも良いところですが、私の用途では致命的な欠陥があることに不満を感じるようになりました。
写真1枚目の黄色矢印のところ、ブレードが直接ハンドルの木材に触れている構造なので、この部分が水に濡れてしまうと、木が膨張して刃の開け閉めがとてもしづらくなります。
水に浸けないように使えばいいじゃん、という話ですが、私はこのオピネルを調理用に使っていて、特に釣りの時に川辺で魚を捌いたりする時にも使うので水で濡らさないというのは不可能です。
渓流に二泊三日で行ったりした時には、二日目、三日目にナイフを開こうとネイルマーク(爪を引っ掛けて刃を開くための凹み)に爪を掛けても全然開かなくて、爪が割れたことすらあります。
逆に刃を閉じる時も、ものすごく力を加えなければならず、とても危険。
ナイフをバラしてブレードと接している木部を削ってブレードがスイスイ動くようにカスタマイズしている方々もいますが、そうすると今度は普段ブレードがゆるゆるになってしまい、貧弱なロック機構と合わせて危険を感じるんですよね。
調理用ならオピネルよりも断然おすすめ|BROTHER -1512
上記した通り、オピネルはハンドル(厳密には刃と接するハンドル木部)を濡らしてしまうと使い物になりません。
そこで、アマゾンで廉価な実用的なフォールディングナイフを探しました。
最初に目に付いたのが、DURATECHというブランドの1,980円のナイフ(楽天で見る・アマゾンで見る・ヤフーで見る)。
これ、レビューを見ると概ね評判は良く、買ってみようかなと思ったんだけど、写真で刃のグラインドがなんだか雑に見えたのと、収納しても刃先が指に触れてしまうとかライナーロックがしっかり効かないというようなレビューもいくつかあったので、保留。
そして、これはどうかな、と思ったのがBROTHER -1512。
中国OEMメーカーの自社ブランドで、種類も豊富。
鋼材は定評あるSUS440Cだし、ロック方式は信頼性の高いロックバック。ハンドルはカーボン製だし、良いんじゃないの、これ。価格は2022年2月現在アマゾンで3,900円。前述のDURATECHと比べれば2倍近い価格だけど、そもそもDURATECHが安すぎる。3,900円ならナイフとしては十分お手頃なのに、アマゾンでは一件もレビューがないのが不安だけど、一か八か自分で買って確かめてみることに。
アマゾンから届きました。箱を開けると麻?の収納袋に入っています。
さらにビニール袋に包まれてオイルがべっとり塗られています。
錆防止のためだと思うけど、ステンレスなんだからそこまでしなくて大丈夫じゃないの?
まぁ、ティッシュで拭き取れば全然問題ないです。
折りたたむとポケットに入れられるコンパクトサイズ。
ネイルマークに親指の爪を引っ掛けてオープン。
カチッとロックされるのが気持ちいいです。
BROTHER -1512(楽天で見る・アマゾンで見る・ヤフーで見る)
- 【全長】195mm
- 【ブレード長】90mm
- 【ブレード厚】3mm
- 【重量】65g
- 【ブレード材質】SUS440C
- 【ハンドル材質】G10(アマゾン商品ページにはカーボンファイバーと書かれていますが、誤記載です)
- 【硬さ】 58-60HRC
- 【ロック方式】ロックバック(アマゾン商品ページにはスリップジョイントと書かれていますが、誤記載です)
ブレード材はステンレス鋼の440C。切れ味と研ぎやすさのバランスがとれた鋼材です。
ブレード形状はドロップポイント、グランドはフラットグラインド。
ハンドル材はカーボンファイバーです(※ページ下追記参照)。冬でも手が冷たくなることはありません。
金属製のハンドルは、真冬は手が貼りつくほど冷たくて触りたくないんですよね。
ハンドルエンドにはランヤードホール(コードを取り付ける穴)があります。
刃の後端部がガチッとロックされるので信頼度が高く、刃が薄いので(刃厚3mm)調理にも使いやすいです。
刃を挟んでいる青い樹脂製のライナー。これがアクセントになっていますが、見る人によっては安っぽく見えるかも?
カーボンファイバーのハンドルは手触りが良く、手になじみます。
サイズ的には私の使っているオピネル(No.9)とほぼ同じですね。
刃渡りもオピネル同様90mm。ハンドルの握りやすさはオピネルに分がありますが、魚を捌く時なんかは1512のフラットなハンドルの方が使いやすいです。
ナイフ後端の切り欠きから見えるロッキングバー(刃をロックしている金属製のパーツ)を押し込むと、ロッキングバーがロック溝から外れて少し浮きます(写真2枚目の黄色矢印のところ)。
これで刃を内側に倒すことができます。
信頼性の高いロックバック方式ですが、閉じる時には指を切る危険性もあるので注意が必要です。両手で慎重に閉じます。
操作は実にスムーズで、カチッとロックされるのが気持ち良く、安心して使えます。
畳んだ状態で刃はちゃんとセンターに収まっているので精度も良さそうです。
畳むと手のひらサイズでポケットに入れても邪魔になりません。
ただ、1点気になる点があるとすれば、刃を畳んだ時に刃の後端(ロッキングバーと接する部分)の直角部分のエッジが効いていて(写真1枚目の黄色矢印)握った時に写真2枚目のように指が当たったりするとちょっと痛いというか、手触りが良くないです。
まぁ怪我をするようなことはないんだけど。
ロックバック以外のロック方式
ブレードをロックする方式は他にもいろいろありますが代表的なものは2つです。
一つ目はライナーロック。
写真2枚目の黄色矢印のところにあるライナーと呼ばれる金属板が板バネになっていて、ブレードを開くとブレード後端と噛み合いロックする方式です。
このナイフはハンドル材もステンレス鋼製でそのハンドル材自体に板バネ加工がされているもので、フレームロックと呼ばれます。
閉じる時は、ライナーを親指で押し込んでロック解除してから、ブレードを畳みます。
このライナーロック方式を採用しているナイフが現在では一番多いと思います。
慣れれば片手でも開閉できるのが魅力ですが、経年とともに板バネが弱くなってくる場合があって、ロックバック方式に比べるとやや信頼性が劣ります。
もう一つが、スリップジョイント。
写真はウェンガーの多機能ナイフですが、ヴィクトリノックスの多機能ナイフや他にも小型ナイフに採用されることが多いです。
これは、構造が見えないので説明しにくいですが、ブレード後端が円形になっていてそれがハンドル内部の背に干渉しながら開け閉めします。その抵抗によって少し閉じにくくなっているだけの構造です。はっきり言うとロックはされていません。
小型ナイフの場合はこの方式でも問題ないですが、大きな力を加えて使う大型ナイフには向きません。
BROTHER-1512の切れ味テスト
コピー用紙を使って切れ味テスト。
左手に紙を持って、ナイフで削ぐように切っていきます。
ちょっといい加減に研いだオピネルも、まぁまぁの切れ味です。
そして、BROTHER-1512は、箱出し(買ったままの研がない状態)でサクサク切れます。文句ない切れ味です。
割り箸を使ってフェザースティックを作ってみました。
薄くすーっと削れるので、いい感じです。
ナイフや包丁の切れ味テストではよくトマトを切ってみたりしますが、今回はトマトの代わりにピーマンでやってみます。
まずは、縦に一刀。すーっと刃が入ります。
半分に切ったら種を取り除き、さらに細切りにしてみます。
おぉー、これはかなりの切れ味!
使用後はオピネルと違って気兼ねなくじゃぶじゃぶ洗うこともできます。
440C鋼は刃持ちの良さと研ぎやすさのバランスが良いので、切れ味が落ちてきたらちゃんと研ぎさえすれば長く愛用できそうです。
カーボンファイバー製のハンドルも長持ちしそうですが、内部の青い樹脂製のライナー、これの耐久性が不明。すぐに劣化するようなことはないと思いますが、使い続けて気づいたことがあれば追記します(※青いライナーについて、ページ下の追記参照)。
BROTHER -1512 まとめ
良いところ
(1)ステンレス鋼440Cは刃持ちの良さと研ぎやすさのバランスが良いので扱いやすい。
(2)箱出しで切れ味が良いし、フラットグラインドなので自分でも研ぎやすい。
(3)カーボンファイバー製のハンドル(※ページ下の追記参照)は手触りが良く握りやすい。
(4)ポケットに入れておいても邪魔にならないサイズ感。
ちょっと残念なところ
(1)閉じた時にブレード後端の直角部がハンドルから出ていて手触りが良くない。
(2)青い樹脂製のライナーの耐久性にやや不安を感じる(※ページ下の追記参照)。
このナイフ、こんなに良いのになぜアマゾンで(楽天やYahooショッピングでも)一件もレビューがないのか。
それはたぶん、ロック方式が「スリップジョイント」と誤記載されたままになっていて、本格的に使えないような気がしてしまうから。写真を見ればロックバック式だとわかりますが、なんとも残念。
このナイフ、私はお勧めできます。
最初に書いた通り、外観からはとても単純に見えるナイフでも鋼材や刃の付け方フォールディングナイフならロック方式の違いなど、選ぶ時にいろいろ迷う点があります。
それらについてはいずれまとめたいと思いますが、一つだけ、私はアウトドアの調理用ナイフは炭素鋼ではなくステンレス鋼をお勧めします。
★2022.4.30追記:
KUNさんからコメントいただきまして、リンク先の動画内のカタログ記載を見るとハンドル材はカーボンファイバーではなく、G10のようです。
アマゾンページの「【ハンドル材質】Carbon Fiber」は誤記載だと思われます。
そして、気になっていた青いライナーもG10とのこと。G10であれば、耐久性には問題がないでしょう。
今回私が購入したブラックの他にグリーンのハンドルタイプもあるんですが、グリーンの方のハンドル材はマイカルタです。
コメント
火と刃物は、なぜか惹きつけらますよね。^^
ちょっと危険だけど、上手く付き合えばなくてはならないものだからかな。
ボクは指先の力が入らないのでフォールディングナイフを選択肢から外さなければならなくなったけど、寧ろその方がついつい色々買っちゃわなくて良いかもしれませんね。(笑)
kuniさん、こんばんは。
そうです、火と刃物なんですよね。火と刃物が好きなんて言うと危ない人だと思われそうですが(笑)
火と刃物を使いこなすようになって、人間の進歩は始まったのかもしれませんね。
フォールディングナイフは確かに指先の力を必要としますね。フォールディングナイフはちょっとギミックっぽいところがあって、シースナイフよりいろいろ欲しくなっちゃうところが危険なのかも。
男ってナイフ大好きですよね そう言いながら、小型ナイフ2本しか持ってないですが オピネル、紛失した 私のオピネルも 持ち手の木の部分に割れがあった記憶があります。フィールドで使うなら、頑丈、使いやすいが一番ですよね。 私は、ナイフに似た包丁に走りましたが
Kさん、こんばんは。
なんなんでしょうね、ナイフに惹きつけられちゃう感じ。
オピネルは超有名で定番とされていますが、実際使ってみるとあの木製ハンドルは水濡れが想定される場面では使い勝手が悪いというか、使えなくなります(笑)
包丁も奥が深いですよね。家庭で毎日使うこと前提なら研ぎやすくて切れ味の良い炭素鋼ですかね。
おはようございます
二十歳のころからナイフは小銭入れに付けて、いつも持ち歩いていました。
ナイフと言ってもヴィクトリノクスの刃渡り3㎝程のクラシックSD。
ナイフと鋏とヤスリとマイナスドライバーと楊枝とピンセットのついた小指程の薄い小さなナイフ。
凄く凄く便利で、日常生活に大活躍していました。
が、そのナイフ、今から20年程前に飛行機の保安検査で引っ掛かって、それに懲りて、持ち歩かなくなりました。
この記事を機に思い出したので、再び持ち歩くことに。
今は小銭入れは持ち歩かないので、スマホにぶら下げます。
マンボウさん、こんばんは。
私もキーホルダーに付けられるミニナイフを探していたんですが、ヴィクトリノックスのクラシックSDはちょうど良さそうです。ミニライトと一緒に常に持ち歩きたいです。
なかなか物騒な世の中なので、飛行機の保安検査が厳しくなるのはわかります。
スマホにつけて持ち歩くのも良いですね。
この動画にあるカタログによると、ハンドルも青いライナーも両方G10のようでした。 https://youtu.be/127ruJtq8os?t=822
KUNさん、こんばんは。
コメントありがとうございます!
リンク先動画見ましたが、確かに動画内のカタログにハンドルも青いライナーもG10との記載がありますね。ライナーもG10なら耐久性は問題なさそうです。
本文にもその件、追記しました。
教えていただいて、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
僕も同じように刃の開閉がきつくて面倒になってきたなと思っていました。これを買うようにします。
Nori1022さん、こんにちは。
Noriさんもオピネル使ってましたっけ。オピネルは木製のグリップが手に馴染む感じはとても良いんですが、その木製のグリップが濡れるとヤバイことになりますね。
少なくとも魚を捌くのには向かないですね。
このナイフは使い勝手がとても良いので、お勧めですよ。