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狐に化かされる林|チチタケ採り

きのこ狩り
この記事は約6分で読めます。

先日は、チチタケが少しは出てるだろうと軽い気持ちで少し山を歩いてみたけど、結局チチタケは影も形もなく、立派なマツオウジが1本採れただけでした。

日をあらためまして、8月24日に今度はちょっと気合いを入れて木曽方面に出かけてみることにしました。
一昨年の8月釣りに行ったシシ神の森の帰りに立ち寄った林でチチタケが採れたんですよね。
あてもなく木曽方面に向かったわけではなく、その林は結構な広さで真面目に歩けばチチタケがかなり採れるはずと睨んでの遠出です。

狐に化かされる林|チチタケが豊作


とにかくやってきましたよ、例の林。
植生としては、アカマツ、カラマツにナラやシラカバも混じる混生林といった感じでしょうか。

 
林の入口にいきなりチチタケがたくさん生えています。
でも、残念ながら少し大きくなりすぎて、しかも連日の雨に打たれて少し傷んでます。

 
大きくなったものはヒダに褐色のシミが出てくることがあります。
チチタケは壊れやすいキノコで、少しでも傷付くと白い乳液が出てきます。
これが手に付くと厄介なことになるので、必ず手袋をして採りましょう。
と言いつつも、私は手袋を忘れて素手で採ってますが(笑)

もっと奥の方まで見に行ってみよう。

チチタケとツチカブリがどっさり!


おぉー、群落になってますね。
こちらのはそれほど傷んでなくてきれいな個体が多いです。

 
まだ幼菌も出てきてるし。
チチタケの幼菌の傘は、艶消しの褐色で本当にきれいなんですよね。
ヒダも淡黄色でとてもきれい。

 
チチタケの傘はビロード状で撥水性があり、ちょっとやそっとの雨では表面が濡れることはありません。
でも、成長してくるとその撥水性は弱くなり、強い雨に打たれるとぐっしょりと濡れて傷んできてしまいます。大きく開いて漏斗状になった傘にこんなに水が溜まっていました。


順調にチチタケは採れますが、チチタケと同じ形をした白いキノコの群落もあります。

 
ツチカブリ(注)
形はチチタケそっくりだけど、色合いがチチタケとは全く違います。
ベニタケ科の中でもチチタケ属なので、チチタケにそっくりなわけだ。
チチタケ同様に白い乳液が出ます。ただ、この乳液はとても辛くこの乳液を洗い流せば食べられると言われてきましたが、現在は毒キノコとして扱った方が良いです。


ちなみにこのツチカブリと似ているツチカブリモドキ(毒)というキノコがありますが、判別点はヒダの密度です。ツチカブリはこの写真のように極めて密なヒダ(チチタケよりも密)ですが、ツチカブリモドキはかなり粗いヒダをしています。
いずれもチチタケの近縁種ですが、色合いが全く違うので間違えることはあり得ません。

 
こちらはお馴染みのドクベニタケ(毒)
雨に打たれて傷んで色が抜けてますが。

ベニタケ科のキノコでもいくつか食べられるものはありますが、圧倒的に毒キノコが多いので手を出すのは今回のチチタケだけにしておくのが無難です。
他にも安全なものとしてアイタケハツタケがあります。
両種とも食べたことはありますが、私の手元には今現在写真が1、2枚しかないので今シーズン見つけられたらしっかりと写真を撮って『おいしい山菜&きのこ図鑑』の方にも掲載したいと思います。


チチタケはこのくらいあれば十分かな。大きいのが多いし。
そろそろ帰ろう。

 

 
写真1枚目はカバイロツルタケ(毒)かな。ツルタケの仲間はヤバイのが多いので、手出し無用。
写真2枚目、ハナホウキタケ(毒)に白いのなんてあったのか、と思ったけど調べてみたらこれはどうやらカレエダタケ(食不適)ですね。


帰る途中にチチタケの群落見つけちゃった。
黄色囲みの少し窪んだところに、ずっと奥まで列になってたくさん生えています。

 
きれいな個体がたくさん採れます。
ある程度追加して、もう十分なので本当に帰ることにします。

狐に化かされるとは、正にこのことか。

来たところを戻っていきますが、あれれ? 全然道路が見えてこないぞ。
ん? 方向を間違えてる?

 
ぐるりと見回しても一面の林で、どちらが道路なのか全くわからなくなっちゃった。
空を見上げても雲に覆われていて、方角さえも全く見当がつかない。
まさか、こんな平地林でそんな状態に陥るとは。

まぁ、でも焦るような状況じゃないです。
一番簡単な解決策はスマホ(iPhone)に頼ることです。
渓流釣りでいつも重宝しているアプリFieldAccess2を起動させればGPSで自分の現在位置および向いている方角を国土地理院の1/25,000地形図に表示できるので、簡単にこの迷路から脱出できます。

と、高をくくっていたら、アプリを見ながら矢印に従って道路方向に向かっているはずなのに、なぜか途中から逆方向に向かっていることになっちゃう。
何これ??

この林の中は地磁気が狂っているのか、いや、そもそもGPSアプリに地磁気は関係ないのか?よくわからんけど、とにかくこの林は怪しい。まさに狐に化かされているような気分。
一つだけ確かなことはこの林の中ではiPhoneは無力だということ。
あとは自分の中の野生に頼るしかない。

とりあえず、大きく深呼吸して落ち着こう。
目を閉じて耳を澄ますと、微かに川のせせらぎの音が聞こえます。
そうだ、近くに川があるはずだ。川の方へ向かえば大丈夫なはず。
もう一度目をつぶって、せせらぎの音がどちらから聞こえて来るのか確かめます。
こっちだな。

林の隙間から何か見えないか目を凝らしながら、微かな音の方へ歩を進めます。


途中にまたチチタケの群落を見つけたので、ちょっとだけ採って・・・
こんなことしてると脱出できなくなるかも。

 
この小っちゃくて真っ赤なキノコは、たぶんベニヤマタケ(食不適)
ほんとに蛍光色のように真っ赤なので、とても目立つキノコです。毒はないですが、食用にするほど採れませんね。

耳を頼りに、でも半信半疑のまましばらく直進すると、見覚えのある林道に出ました。


もう大丈夫。あー、良かった。
あとはこの林道を歩けば道路に出られます。

手袋をしないでチチタケを採るとこんなことに・・・


道路には出られましたが、素手で採っていたせいでチチタケの乳液と土汚れが混じり合って手が真っ黒。ちょっとべたつくし。
今回歩いた林は、『白狐の林』と名付けておこう。狐に化かされちゃったから(笑)

シシ神の森に寄って手を洗ってから帰ろう。


車でちょっと移動してやってきました、シシ神の森。
ちょっと増水してるけど、釣れそうな雰囲気むんむん。釣りをしたいのはやまやまだけど、今日は時間が無いのが残念。
もう涼しくなってきちゃったから、今年はこの水温の低い川で釣るチャンスはないかなぁ。


川の水でゴシゴシ洗ってみたけど、全然落ちません。
石けんで洗わないとダメだな、これは。諦めてこのまま帰ろう。
やっぱりきのこ狩りに手袋は必需品ですね。

もう夏は終わったんですね。


見上げるとすでに秋のような雲が足早に流れていきました。
秋のきのこシーズン本番まではまだ少し間があるけど、渓流が夏場に渇水になるようなことはなくずっと増水状態が続いているので、山にも十分な水の蓄えがありますね。
このまま順調に地温が下がってくれば、今年のキノコはおそらく豊作でしょう。

むしろ心配なのは9月に雨が降り過ぎること。
昨年みたいに雨続きで、きのこ狩りにも渓流釣りにも行けないような9月にならないことを祈るばかりです。

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コメント

  1. こんばんは。
    やはり、狐はバカシマスネ~、ぶるぶる。
    国土地理院地図アプリ、私は山旅ロガー(地図ロイド)を使っています。
    釣行に絶対手放せないスマホですが、低速になってしまう歩行時は地図アプリの矢印でなくて、地図アプリの方位磁石を信用して歩いています。
    白乳液が出るのはチチタケだけではないんですね。
    やはり、キノコは難しいです。

    • マンボウさん、こんばんは。
      白いツチカブリも狐が化けていたんじゃないかと思っちゃいました(笑)
      山旅ロガー、使い勝手を試して見たかったんですがはAndroid版しかないみたいで、残念です。
      ツチカブリも白い乳液が出て、形も良く似ていますが色合いが全く違うので、ぱっと見でも間違えることはないです。
      キノコはとにかく種類が多いのでいろんなものに気を取られてしまいますが、ハッキリとわかるものを一つずつ地道に増やしていくのが楽しみ方のポイントだと思います(^_^)

  2. 知り合いも以前、峠の反対側に出ちゃったと言ってました。遭難しないように気をつけて下さい(^-^) 木曽は、朝、晩の気温が 大分低くなってきました。今シーズンはキノコに期待できるかもしれません。

    • Kさん、こんばんは。
      山頂付近から降りる時は要注意なんですよね。
      ちょっと尾根筋を間違えると全然違うところに出ちゃいます。私も何回もそんなことがあって、最近は細心の注意を払ってますが(^_^;)
      こちらも、朝晩はだいぶ涼しくなってきましたよ。
      今シーズンのキノコは豊作だと私も思っています(^_^)

  3. こんばんは。
    前回に採れなかったチチタケ、遠くまで行った甲斐がありましたね。
    チチタケですが、ヒダの中に小さな虫が無数に入っていてワラワラと出てきませんか?あれはかなり気持ち悪い(^^;;
    キノコは虫に喰われるイメージが無かったのですが、色んな虫が付いてますね。
    せっかくチチタケを食べることが出来るようになったので、地元でも探してみたいと思い渓へ行きたいのに、この雨。恨めしい空です。

    • 七流釣師さん、こんばんは。
      ええ、木曽まで行って空振りだとショックがでか過ぎます(笑)
      ヒダの中の虫って、極小さな羽虫のようなヤツですか。ハナイグチの管孔にたくさん入っていることがあるヤツかな。古くなった(大きくなった)チチタケのヒダにもいることがあると思いますが、今回のチチタケには全く虫がいませんでした。
      キノコは特に気温が高いと虫に食われていることが多いですね。
      チチタケの他に、秋になったらアミタケ、ハナイグチ、ショウゲンジをぜひ探してみて下さい(^_^)

  4. おはようございます。チチタケの液が爪の間に入りますとなかなか取れませんね、それと老菌の嫌な臭い、車がいつまでも匂うので調べてみたら、箱の中にチチタケを入れたレジ袋が一つ残っていたのです、タマゴタケも出ていましよ。

    • ハックル70さん、こんばんは。
      チチタケの乳液はかなり厄介ですよねー。ワカサギの鱗と同じくらい(笑)
      チチタケ独特の香りがありますが傷むと嫌な臭いになりますよね。あの香り高いマツタケも傷むととても嫌な臭いになるので、キノコは傷むとどれも嫌な臭いを発生するのかも。
      タマゴタケも比較的早くから出ますよね。私は今年はまだ採ってませんが、姿形がかわいいので見つけると嬉しくなります(^_^)

  5. 文明の利器も信用できない時があるんですね。
    とどのつまりは最後に信用できるのは、己のみということでしょう。
    ボクの場合、その己が頼りないんだけど・・・(笑)

    雨も風(波浪)も全くないと困りものですが、多過ぎもまた然り。
    適度に欲しいところですよね。^^

    • kuniさん、こんばんは。
      スマホアプリはとても便利なんですが、いつでも使えると頼り切っていると痛い目に遭うこともあるかもしれませんね。
      電波のないところでは使えない機能が多いし、電波がなくても動くGPSアプリだって電池が切れたら当然うんともすんとも言わないし・・・
      kuniさんが頼りないってことはないでしょう(笑)
      人間が適度に感じる範囲って意外と狭いんでしょうね、自然界から見たら。

  6. 初めて行った場所でどこまで遡行するかの引き際が難しい私めです(笑)進みたいけど怖いのせめぎあい。

    • Nori1022さん、こんばんは。
      初めて行く川だと、あの大岩の向こう側、あのカーブの先にもっと良いポイントがあるんじゃないかと、本当に引き際が難しくなります。
      最後に1尾釣れたらやめようなんて思うと、もうダメですね。その最後の1尾がなかなか釣れないといういつものパターンにはまってしまいます(笑)
      明るいウチに降りて来られるくらいのところでやめないといけませんね。

  7. キノコ狩りは地面見ているので方向判らなくなりますね。
    私も地元の山で尾根を1本間違って下るなんてことを多々やってます(笑)

    私もスマホは持ってますが、谷間だったり山奥で電波状況が悪かったり、木々でGPS電波が怪しいこともあるので、ちゃんと山に入る場合はガーミンの登山用GPN持参してます。

    eTrex 30Jなんてのを持って山に入っている人は他に聞いたこともないですが、専用GPSは間違えることないですし、軌跡も残せるので新たな場所の開拓にもお勧めです。
    難点は輸入盤の安いモノでも高すぎることくらいでしょうか。

    • イチさん、こんばんは。
      そうなんですよね。慣れた山でも、山頂付近から尾根を降りる時は少し間違えると全然違うところに出て来ちゃったりするんですよね。
      ガーミン、見てみました。専用機だけあってかなり頼もしそうですが、日本語版だとかなり高いですねー。これは地図データは別途購入するんでしょうか。
      それと英語版でも問題なく日本の地図が表示できるのかな。
      ちょっと欲しくなってます(笑)

  8. おもしろ怖く拝読しました。

    小さい頃「冒険図鑑」(福音館)という分かりやすい本文とイラストが豊富な本が大好きで、特に野草やキノコのページを、ドキドキハラハラしながら読んでいました。

    本文のキノコの説明書きは『○○ダケ…食べると下痢になり、やがて呼吸困難になり死ぬ』『△△キノコ…食べるとピリッとする。幻覚と呼吸困難で死ぬ。』などと要点明確、端的で、幼心に(かくもこんなに簡単に人は死ぬのか)と毒キノコへの警戒心と興味をことさらに深めました。今回のキノコの話も、ものすごく興味を覚えました。

    東京のコンクリートジャングルと排気ガスの中で現状忍従している身としては、清らかな雨の中の釣りも羨ましいです!

    • テスラさん、こんばんは。
      『冒険図鑑』というタイトルに、もうワクワクしちゃいますね。
      キノコ図鑑なんかでも、毒キノコの説明文に「・・・で死に至る」なんてサラッと書かれていたりするんですよね、恐いことに(笑)
      キノコは食べられるものと食べられない(時には死に至る)ものを見分ける楽しさみたいなものもありますね。
      私も東京で暮らしていたことがあって、今では懐かしく思います。
      休日にはぜひ、アウトドアを楽しんで下さい(^_^)

  9.  チチタケの乳液にはひどい目にあいましたね-。
    さんざん、たくさんとったのはいいんですが、手に持ってたロッドのソックス部分があとで茶色くなって染みました。これは2度と落ちません。
     そのためソックスの新品が欲しいなとおもいますが、だいたいこれはダーク系統色が普通でしょ?
     チチタケはチーズが入ったリゾットにぶち込んでみました。おいちかった。

     過日、30年ぶりに行った川で腕時計を転倒時に落としました。岩に手が当たった際の衝撃でバンドピンが飛んだようです。
     約40年間使用している自動巻きですからショックで落ち込みました。

    ところが車でビクを下すときに中にあったんですよ。なんとラッキー\\\
    当時のダイバーモデルです。リバイバルで今発売されたんですが、2倍の値段です。

     でも給料ベースで比較したら4倍でも安いかな? 当時給料が6~7万くらい。
    本当に欲しかったのは飽和潜水用ヘリウムバルブ付きの同じhattori seiko社600m防水仕様でしたが。

     10年前あげるという人がいて、見たけどのどから手が出ました。収賄に・・・。 

    • FFfreakさん、こんばんは。
      チチタケの乳液は強力ですよね。自然成分でこんなにも落ちにくいなんて、研究すれば何かに有効利用できるかも(笑)
      チチタケとチーズリゾットも合いそうですね。
      40年も使っている腕時計をなくしちゃったらショックですよね。
      ビクの中に入っていてほんとに良かったですねー。
      私はデジカメを川に流したことがあります(T_T)