先日の釣行時に活躍してくれたSOTO(新富士バーナー)のMUKAストーブ。
素麺を茹でるのなんかはあっという間。火力が強くなかなか使えそう。今回は詳細のレビューを書きます。
アウトドアでの調理に使うストーブ。主だったところでは3つのタイプがありますね。
(1)ガスストーブ・・・ガスカートリッジを使用。詳しくはこちら。
(2)ガソリンストーブ・・・ホワイトガソリンまたはレギュラーガソリンを使用。
(3)ネイチャーストーブ・・・枯れ枝など自然燃料を使用。詳しくはこちら。
他にも灯油やアルコールを使えるものもあります。
ガスストーブが一番お手軽だけど、火力が強く、燃料が安いガソリンストーブを一つは欲しいと思っていました。
「燃料が安い」と言っても、ストーブ用の「ホワイトガソリン」は4L缶でも1L当たり最低でも600円以上はするんですよね。そこへいくと自動車用のレギュラーガソリンは2016年5月現在リッター115円前後。燃費がまるで違います。このレギュラーガソリンを使えるタイプを買いたいなと。
なぜ一番普及しているガスタイプにしなかったかというと、ガスの残りが少なくなってくるともう一つガス缶を持って行かなきゃになるでしょ。そして空き缶はそのまま帰りの荷物になるし。ガソリンなら出かける前に常に満タンにしておけば一缶で済むので。
定評のあるMSRの製品。燃焼音がとても静かなウィスパーライト(楽天で見る・アマゾンで見る)やガソリンストーブでは難しいと言われる弱火が得意なドラゴンフライ(楽天で見る・アマゾンで見る
)も候補の一つでしたが、結局プレヒート(予熱)不要のMUKAストーブを購入。
プレヒートとは、バーナー下の受け皿で少量のガソリンを燃やしバーナーおよび直前の燃料パイプを温める作業です。
これが結構面倒だし、危険を伴うのでかなり気を遣うのです。MUKAストーブはこの工程が必要ありません。
↑SOTO MUKAストーブ SOD-371(楽天で見る・アマゾンで見る)。
ストーブ本体と別売りの燃料ボトルをセットで購入。
中身はこんな感じ。
SOTO MUKAストーブ SOD-371の使い方
●寸法幅:135×奥行135×高さ80mm(使用時・本体のみ)・幅80×奥行65×高さ80mm(収納時・本体のみ)
●重量:333g(本体+ホース:163g、ポンプ:170g)
●発熱量:4.7kW(4,000kcal/h)
●使用燃料:自動車用レギュラーガソリン、ホワイトガソリン
↑通常は燃料ボトルは別売りで、容量によって3種類あります。
製品の記載は、小さい方から400ml、700ml、1000mlですが、実際には入れられる燃料の制限量があって、それぞれ280ml、480ml、720mlが上限なので注意が必要です。
今回は、真ん中のサイズとのセット販売商品を購入しました。
本体(330g)+中サイズボトル(146g)+ガソリン満タン時480ml(約350g)=合計826g
同じSOTO製のガスストーブ ST-310(楽天で見る・アマゾンで見る)の場合は、合計で700g。ST-310は最大発熱量が2.9kW(2,500kcal/h)と、MUKAストーブに比べるとかなり低いので単純比較はできませんが、ご参考までに。
実際にアウトドアで使う前に、ベランダで燃焼テストをしてみます。
ガソリンストーブは絶対に室内で使用しないで下さい。点火時に大きな炎が上がるので危険です。
ストーブ購入に先駆けてホームセンターで購入したガソリン携行缶。これは2.5Lのものですが、セルフスタンドでリッター指定できる3Lのものがお勧めです(楽天で見る・アマゾンで見る)。
2.5L入れようと思うとオートストップできないので、ちょこっとずつ入れるのが結構面倒です。
蓋を開けるときはガソリンのセルフスタンド同様、静電気に注意です。
一番簡単に静電気を除去するには水道で手を洗うことです。
この製品にはエア抜きバルブがないので、蓋を1/4くらい回してからちょっと傾け、一旦エアを抜きます。
それから蓋を開けます。
専用ノズルをセットしてボトルに注ぎます。
写真撮らなきゃなので写ってませんが、ボトルは左手でしっかり押さえて下さい。
それと注意しなければいけないのはボトルの口元にゴミが付かないようにすることです。
ここにゴミが不着すると、燃料漏れの原因になります。
前述した通り、私のボトルは700ml入りますが、480ml以上入れてはいけません。
空気が入る分がないと、燃料として気化させられませんからね。
ボトルに燃料上限の線が書かれてますが、燃料を入れながらどの辺りか確認しずらい。
ボトル内側に、凹凸で線を入れてくれるとありがたいんだけどな。
後でポンプを取り付けるけど、とりあえずキャップをしておきます。
バーナー本体。燃料ホースを伸ばし、ごとくを開きます。
赤矢印のように横方向に開きたくなりますが、青矢印のように縦回転です。
スマートポンプをボトルに取り付けます。
ホースの向きがこのままになるように気をつけてボトルに入れます。
コントロールダイヤルが『LOCK・Stop』の位置になっているのを確認して、ポンピング開始。これでボトル内の圧力を上げて、気化させるんです。
ちゃんと一番上まで引き上げて下までしっかり押し下げる。これを70回くらい。
これが大変だという人がいますが、こんなのはそれほど力がいる訳でもなくスポスポ動くので1分もかからず完了。
ポンピングをしていると徐々に圧力インジケーターのピンが出てきます。
赤い線が見え始めたら完了です。
燃料が満タン時以外は赤い線が見えなくても80回位のポンピングで終了してもOKです。
その方が点火時に大きな炎が上がらないとか。
ホース側のキャップを外し、さっきと同様にスライドリングを左に動かしてホースを差し込み、スライドリングを右に動かししっかり固定します。
取り付ける際にホースの接続部にゴミが付かないように注意です。
平らな場所に設置したら準備完了。燃料ボトルはスタビライザーという針金みたいな足が付いてるので転がったりはしません。
点火には火が必要です。もちろんマッチやライターでOKですが、点火時に大きめな炎が上がるのでこんなのがあると安全です。SOTO ガストーチ(楽天で見る・アマゾンで見る)。
点火スイッチをロックができるのも安心ですね。
そしてこの製品の最大の特徴は火口が伸縮できるんです。これなら手をバーナーから離した状態で着火できるので安全です。そこそこの価格ですが、ライターガスはもちろん、安価なカセットガスを使って詰め替えられるので経済的です。
火も強力な耐風バーナーなのでアウトドアでの使用にはピッタリです。
いよいよバーナーに点火します。
先にガストーチを点火します。これ重要です。
バーナーに火を近づけてから、コントロールダイヤルを上に引っぱってロックを解除して、左に回して『Start』の位置に合わせます。
最初の2、3秒空気だけ出てきてその直後、ボワッと着火。
初めてだとちょっとびびりますね(>_<) でも大丈夫です、正常動作です。このくらいの火が立つので、上述の火口の長い着火器具を使った方が良いということです。
絶対に着火する時にバーナーをのぞき込んだりしちゃいけませんよ。
10〜15秒くらいすると落ち着いて青いきれいな炎になります。
燃焼音はかなり大きいです。渓流や山では全然気になりませんが、静かなテントサイトなんかではお隣さんに気を遣うレベル?
青い炎になったら、コントロールダイヤルを『Run』に合わせます。
火加減は『Run』の範囲内で調整できます。
着火で圧力を消費するので、燃焼を安定継続させるために圧力インジケーターの赤線が見える手前あたりまでポンピング。圧力かけすぎないくらいがいいです。
消火する場合は、まずコントロールダイヤルを『Air』に合わせます。すると空気だけが流れて徐々に火が消えます。
火が消えたら『Stop』に合わせます。
この後すぐに使わない場合は『Air』のまま、完全に空気が抜けきるまで待ちます。
バーナーからシューという音がしなくなって、圧力インジケーターのピンが完全に収まればOKです。
最後にコントロールダイヤルを下に押し込んでロックすれば完了です。
燃焼中でもこのダイヤルを押し込めば燃料と空気両方を止めて緊急停止できるので、覚えておいた方がいいですね。
後は、バーナーとごとくが冷めるまで待ってから、バーナーを元通りに折りたたんで収納。
以上、着火と消火、詳しく書いたのですごくメンドクサク見えるかもしれませんが、一度やってみれば特に難しいことはありません。簡単です。ポンプは通常は付けたままでOKだし。
付属品の風防と遮熱板。薄っぺらいアルミでとても頼りない(笑)
広げたところ。くるくる巻かれた風防の中から吸気パイプが出てきました。
風防を取り付けても、空気を吸い込める延長管のようなものですね。
ちょっとセットしてみました。
遮熱板は下に草など燃えやすいものがある時に使うものだと思うので私は使いません、たぶん。
バーナー自体に全く風防がついていないので、風防は風のある時には有効だと思いますが、私は狭い谷間で使うことが多いのであんまり使わないかも。ちょっとメンドクサイし(笑)
この風防自体が風で吹き飛ばされそうだと思うのは私だけだろうか。
付属品のメンテナンスキット。風防クリップはさっきの風防を円くした時に留めるためのものです。他のものについてはまた使用する時に書きます。
燃料ボトルにスマートポンプを付けた状態で持ち歩けますが、念のためボトルキャップも持ち歩くことにします。
こんな感じで携行することになります。収納袋の中には一応全部入れてますが、風防や遮熱板は持ち歩かなくなるかも。ともかくコンパクトで良い感じです。
ボトルも1泊くらいなら一番小さいヤツでも十分かも。その辺りはまた実際に使用してみてから。
クッカーの底に煤がついてますが、これは先日ネイチャーストーブに掛けた時のものなので気にしないで下さい(笑)・・・それについては後日書きます(詳しくはこちら)。
MUKAストーブでは全く煤は付きません。
使用環境により異なると思いますが、沢の水600ccを完全に沸騰させるのにフルパワーで3分15秒でした。
どんなものでも長所と短所がありますね。
使う人の用途によっても変わってきますし。私の感じた長所と短所をまとめます。
SOTO MUKAストーブ SOD-371の長所と短所
長所
(1)安価でどこでも入手できるレギュラーガソリンが使える。
(2)プレヒート(予熱)が不要。
(3)安定した強い火力。
短所
(1)ガスタイプに比べると手間がかかり、扱いに注意が必要。
(2)弱火が苦手。
(3)ジェネレーターユニットの定期交換が必要。
短所1については、手順さえ一度覚えれば特に大変なことはないので、私はそれほど短所と思ってないですが、そう思う人が多そうなので書きました(^_^;)
短所2については、先日ご飯を炊いてみたところ、ちゃんと炊けたので使い方次第でカバーできます。
一番問題なのは短所3です。
ガソリンの量にして20Lを目安にジェネレーターが詰まってきて火力が徐々に落ちてくるようです。そのような状態になったら、ジェネレーターユニットを交換しなくてはいけません。これが3,000円くらいするんですよね。
ガソリン20Lって私の使用頻度だとどのくらいの期間だろう?
公称値だと私の使っている700mlサイズ(実際に入れられる燃料は480ml)の場合、最大火力で1時間燃焼。
一回の釣行ではいくら使ったとしても最大火力で30分くらいだろう。
その時の消費ガソリンは240ml。
毎週一回釣りに行ったとして、一年に52週あるから、240ml×52週=12,480ml
12.48リットルですね。
実際には私の場合ネイチャーストーブなんかも併用するし、冬はそんなに出かけないから、実際にはもっと長持ちすると思うけど、2年〜3年に1回は交換ということになりそう。
これを高いと見るか、安いと見るか。
検索してみるとジェネレーターを掃除して復活させたという記事がこちらにありました。
ジェネレーターは復活できそうですが、問題は上記分解図の3番のパーツ。
これは燃料ホースとバーナーを接続している可動ジョイント部です。Oリングが装着されていて、パッキンになっているようです。
これが劣化するとこちらの記事のようにオソロシイことになる場合もあるみたいですね。
レアケースのようですが、火力を押さえるためにバーナーの上に網状の物を乗せて使っていたためにOリングが硬化してしまったのが原因のよう。いずれにしろ注意が必要なパーツのようで定期交換した方が無難。
このジョイントだけ安価で提供してくれたらいいのに、もしくはこの部分は可動式じゃなくて固定式でもいいかも、新富士バーナーさん。
ともかくこのストーブ、私は結構気に入っているのでこれから頻繁に使っていくのでその都度レビューしていきます(^_^)
★後日追記:
このストーブでご飯も炊いてみました。弱火が苦手なので、どうかと思いましたが予想外にうまく炊けました。以下の記事もご参照下さい。
★2016.11.9追記:
今シーズンは釣りにキャンプに大活躍しました。実際に使っている様子をこちらからご覧下さい。これだけ使っても携行缶2.5Lのガソリンは使い切れませんでした。上記で短所としてあげた「2年〜3年に1回は交換・・・」のジェネレータユニットですが、20Lのガソリンとなるともっと先の話になりそうです。このストーブ結構燃費が良いようです(^_^)
★2017.4.5追記:
ガスストーブも購入しました。
ガスストーブ選びについて書きました。詳しくはこちら。
★2018.1.14追記:
1年半ほど使ってMSR ウィスパーライトと比較した長所、短所がはっきりわかったので書きます。
MSR ウィスパーライトとSOTOMUKAストーブを比較して。
MUKAストーブの方が優れている点。
- プレヒート不要
これについてはすでに本文に書いていますが、MSRに比べて扱いやすさは雲泥の差があります。 - 煤で真っ黒にならない。
プレヒート不要の恩恵で、バーナー部に煤が付くことがありません。MSRはバーナー部が煤で黒くなり、片付ける時に気を遣います。 - バックパックの中がガソリン臭くならない。
MUKAストーブは消火の時にコントロールダイヤルを「Air」にすると、燃料パイプ内残ったガソリンはタンクに戻ります。このおかげでストーブが全くガソリン臭くなりません。
ウィスパーライトの方が優れている点。
- 交換部品なしで、メンテナンスさえすれば長期使用ができる。
- 海外長期遠征などで、粗悪ガソリンを使う場合も心配が少ない。
MUKAストーブはジェネレーターユニットの定期交換が必要。ただし、上記の「ジェネレーターを復活させる方法」を実践してみたら、ジェネレーターユニットの交換をせずにある程度使い続けられそうです。
★2018.1.17追記:
MUKAストーブが着火しにくくなってきたので分解してジェネレーターユニットを掃除。メッシュを一つ外すという裏技を試してみたら見事復活。継続テスト中なので、この状態でどこまで使えるのかは、また報告します。
★2018.10.16追記:
ジェネレーターユニットのメッシュをハズした状態で、渓流めしシーズンを通して使ってみましたが、全く不具合なく使えました。このままテスト継続します。
ところで、記事の最初の方にレギュラーガソリンは2016年5月現在115円/Lと書いていますが、2018年10月現在は160円/L前後と高騰。2019年には消費税も10%になるし、庶民の生活は益々苦しくなりそうですね(T_T)
こんにちは!
先日の野外料理に大活躍だったやつですね!
ガソリンバーナーは持っていないので、こいつを買おうか迷ってましたので参考になりました。
飛行機で離島に旅に出た時、ガスもアルコールも飛行機に持ち込めない上に現地にはどちらも売ってないことがありましたが、ガソリンならどんな田舎でも調達できますから重宝しそうです。