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雪中行軍のイワナ釣り|天竜川水系 フライフィッシング

フライフィッシング野外調理
この記事は約9分で読めます。

前回は、着雪が溶けて頭上から降り注ぐというなんとも過酷な状況で予定通りの渓流メシすら完成しないという目に遭っちゃったので、今回はもっと穏やかな釣りがしたい。

後ろ髪を引かれつつ里へと戻る|天竜川水系 麦酒川

※麦酒川というのは私が勝手に付けた名前で、実在する河川名ではありません。

朝9時30頃でなければ家を出られないので、あの川が良いか、それともこっちの川か、と思いを巡らせていましたが、「ここだ」という決定打がないまま、出発時間になってしまいました。
このところアマゴが多かったから、今日はイワナを釣りにいってみようかな。

雪中行軍再び


橋の上から川を覗き込んでみます。
無難にこの辺りに入ってみるか、それとも雪の林道を歩いてずっと上の方まで行くかの二択です。

 
入り口はこんなもんだけど、上の方はどのくらい雪があるんだろう?
カメレオン8を履いてちょっと先の方まで見に行ってみます。
うーん、この先最低5kmくらいは歩かなきゃ川に降りられないことを考えると、途中からかなり雪が深くなりそうな気配。やめとこうかな。とちょっと弱気になりつつ、橋のところまで戻ると、一人おっちゃんがやってきて橋の上から川を見ています。
釣り人かな。

挨拶してみると、漁協の役員だそうで、いつだかの大雨でこの上にある堰堤の構造物が流されてきて、それを国交省に撤去する依頼をしてあるのだとか。今日はその状態を見に来たとのこと。

それは、おつかれさまです。
上の方まで歩いて行こうかと思ったけど、かなり雪が深そうですね。

この辺りには結構放流したけど、解禁からたくさん人が入っているから残っていてもスレててなかなか釣れないよ。上の方は放流してないけど、上へ行った方がいいんじゃねぇかい。

とは言っても、この雪だと川に辿り着けます?

まぁ、行って見ておいでよ。

というようなやりとりをし、おっちゃんのゴリ押しにより雪の林道を歩いて行くことに。

 
何年か前、まだ雪が深い頃に今日と同じように上流部に向かい、途中で膝丈の雪に足を取られ、大変な目に遭ったことがあったので、今日は手には雪かき、手袋もしっかりはめて出発!

前回の雪中行軍はもう7年も前の話なのか。時が経つのは本当に早い。


林道には恐らく2人分と思われる足跡が残っています。
1人は昨日入った足跡じゃないかな。それとカモシカかニホンジカ、どちらかの足跡がたくさん。

 
1時間かけて2kmくらい進みました。雪は想像よりは少なく、くるぶしくらいの深さですが、通常の林道歩きに比べるとやはり疲労度は2倍。気温は上がってきているので、汗をかき息も荒い。
凍った雪の上に乗ったと思ったら、それが体重を支えきれずにがさっと落ちる。これを繰り返すので、ほんとに疲れる。


崖からはこんな立派な氷柱がぶら下がっています。ちょっと休憩。


子どもの頃、学校帰りにこんな氷柱を見つけると、これを剣にして友達とチャンバラみたいなことやってたな。つばぜり合いするとすぐに折れちゃうんだけど。最近は近所で氷柱を見かけるようなこともなくなったような気もする。

ウェーダーに履き替えてさらにその先へ

 
雪がだいぶ深くなってきて、シューズの中に雪が入るようになってしまったので陽当たりの良いカーブのところで、ウェーダーを履くことにしました。
雪道をフェルトで歩くのはツルツル滑って危険なので、今日はグリーンバックにビブラムソールを装着して歩きます。
氷柱は林道脇に立てて、再度気合いを入れて出発!
日が当たっているから帰りまでにこの氷柱溶けちゃうかな。


気合いは入れたはずなんだけど、表面だけ凍った雪はとにかく歩きにくくて20mくらい進むと疲れちゃって、休憩を頻繁にとりながら前進。
もう、嫌になってきちゃったな。それでも、シドケポイントまではなんとか行ってみよう。この季節シドケ(モミジガサ)は少しは芽が出てきているのかどうか確認したいし。


だいぶ頑張って、シドケポイント?に到着。
雪に覆われててよくわからないけど、ここだったっけ? ともかくシドケの芽どころではない状況。ここじゃなくて、もっと先だったっけ?

この頃には「もう引き返して橋のところで釣ろう」という気持ちになってきていました。
今日はのんびり穏やかな釣りをするつもりだったのに、こんなところまで来ちゃって、何やってるんだろう、ほんとにもー。
それでも、もう少しだけ先へ。


この際、この辺りのV字谷を降りてみる? と崖下を覗き込んでみたけど、細い流れは眼下遥か。降りるのはともかく、登って帰ることができるかどうか。リスキー過ぎる。
もう少し林道を歩いてみるか。


見覚えのある場所に到着。と、いうことはやはりさっきの沢がシドケポイントなんだ。
今日は電波圏内でスマホのジオグラフィカに地図データをダウンロードしておくのを忘れちゃったので、自分の現在位置が林道上のどこなのか判然としないまま歩いてきたんですよね。
ここまで来れば、あと少しで川に出られるはず。
気付けば足跡は新しい方の1人分だけになっていました。もう1人は途中で引き返したんだな。

先を越された堰堤下、エメラルドグリーンの水に迎えられて。


なんとか入渓できる堰堤に到着!
昨日の足跡がしっかりと付いているから、堰堤下はダメかもしれないけど。
もうすでに汗びっしょりですー。ちょっと水分補給して一休み。まぁ、とにかく川に辿り着けて良かった。

 
足跡は堰堤に直行しているので、足跡のない川岸の雪をかきわけて、少し下流に移動。
タックル(リバーピーク JP6 7636オービス バテンキル クリックII)をセットしまして、玉ウキマーカーを付けてフライはグレーニンフ#14です。
短い区間の淵や小さな落ち込みなんかを狙いますが、アタリはないです。


そして、堰堤下。7年前は、もっと雪が深い中、なんとかここに辿り着いて、イワナを1尾だけ釣ってお昼を食べて帰ったんだよね。あの時は2月中だったので、もっと寒かったし雪も深かったけど。さて、今日は…
小さなスプリットショット(ガン玉)を付けて、フライを沈めて狙います。

隅の方から丹念に探っていきますが、全くアタリないです。ここで釣れないとボウズかも。


それにしてもこの水の綺麗さには心を奪われます。
元々この川は透明度が高く綺麗な水ではあるけど、こんなエメラルドグリーンになっているのは初めて。
ここまで頑張って歩いて来て、こんな綺麗な水が見られただけでもいいじゃないか。
と、負け惜しみを言いつつ、それでも諦めきれないのでしつこくフライを漂わせていると、


堰堤の真ん中辺り、波を受けてプカプカ漂っているマーカーがピタッと止まり、根掛かりかな?と思うと同時に、ほんの少しピクッと引かれました。ピクピクッ! アワセます。
手に伝わる生命反応!


朱点はうっすらしていて、ほぼ白点のみに見えるタイプですが、この川で育ったワイルドなイワナが釣れました。サイズのことは言わないけど(笑)


体色が紫がかって輝いています。


過酷な条件下で育った魚はとにかくヒレが力強く綺麗なんですよね。小さい魚であっても。
ボウズを逃れたところで、お昼を食べましょう。
汗びっしょりになった後、今度は冷えてきて体を温めないとヤバい。

寒い時にはやっぱりこれ! 冷えた体を温めよう。

 
前回の反省を生かして、今日はMUKAストーブです。寒さなんかものともせず、絶好調。
MUKAストーブ最高!
アルミパーソナルクッカーで川の水を湧かします。

 
ニンジン、シイタケ、白菜なんかを入れて煮えたら、切り餅を入れます。
実は、ユニフレーム fanマルチロースターを持って来ているので、焼いてから入れるつもりだったけど、時間の都合でこだわりを捨てました。

 
「鍋キューブ・うま辛キムチ」を2個入れてぐつぐつ。

 
長ネギを入れて一旦火から降ろします。
器に卵をふたつ割り入れて溶き、軽く塩を振ります。

 
ここで登場、ホットサンドメーカー!
バターを溶かし、スクランブルエッグを作ります。

 
半熟で仕上げ、別皿に移します。
ホットサンドメーカーに食パン、とろけるチーズ、ロースハムの順に乗せ、

 
その上にスクランブルエッグを乗せ、ブラックペッパーをふって、その上にまたハムとチーズ、それから食パンをもう一つ。フタをして両面を焼きます。

 
良い感じの焼き上がり!
チゲ鍋ももう一度ぐつぐつ火を入れて熱々に。


はい、できましたー。
本日の渓流メシ
・餅入りチゲ鍋
・ハムエッグホットサンド
・食後の紅茶


雪に囲まれて食べる、熱々の餅入りチゲ鍋最高! 体が温まります。
後で調べてみたら、7年前の雪中行軍の時も餅入りのチゲ鍋を食べてた(笑)


もちろんハムエッグホットサンドも最高!
今日は充実したランチだな、などと思っている時にあっ、と突然思い出した…
そうだ、今日、夕方地域の会合があったんだ! すっかり忘れてた。
それが頭にあったら、こんな奥地まで歩いてくるはずがないのに。

これはヤバい、お昼食べたらすぐに帰らないと。まぁ、お昼くらいはゆっくり食べている時間はあるから、大丈夫だね。思い出して良かったぁ。

往生際が悪いやつに、明日はあるのか。


ちょっと休憩して林道に上がりました。
今日はこれで帰った方が良いけど、30分くらいならまだ釣りができるんじゃない?
下りは恐らく上りの半分くらいの時間で帰れるだろうし。ふつふつと釣りバカの虫が騒ぎ出し、堰堤上を少しだけ釣り上ってみることに。ほんとにちょっとしか時間ないけど。
バックパックと雪かきは置いて行きます。そもそも、雪かきはここまで全く活躍せず、これを持って来たから今日は余計に疲れちゃったんだよな。

 
堰堤上の流れ。今日はゴム底で歩いていますが、以外とヌメリが少なくそれほど不安無く遡行できます。

 
とにかく深場だけ探っていきます。
あれ? ここから先は足跡ないぞ。もしかして、ここからじゃんじゃん釣れたりして?
なんて思いましたが、そんなに甘くないです。
釣れないまま、次の淵まで行ったら帰ろう、というのを何度か繰り返し…


この淵の沈み石の向こう側。落ち込みからの巻き返しにフライを漂わせます。アタリがないので、一旦ピックアップ。フライを引き上げようとしたら、水面近くまでイワナが浮上してきたのが見えました。そして、フライにちょっと触ったような。
すでにピックアップ体勢に入っていたので、イワナに食わせることはできず。
イワナはしばらくの間、餌(フライ)を探し回るかのように水面近くでキョロキョロしていましたが、やがてまた水底に消えました。

もう一度キャスティングしてフライを送り込みます。巻き返しに乗せて沈み石の際で、今度はマーカーがスッと引き込まれました。さっきと同じイワナか分からないけど、重い手応え。今の時期の渓魚はそれほどの泳力がないので、あまり暴れずに寄ってきました。


きっとまだ餌が少ないんでしょう。少し痩せていますが、野性味たっぷりのイワナです。
ささっと写真だけ撮って、さぁ、帰らなくちゃ。予定時間を10分オーバーしている。

でも、なんかここから先、イワナがたくさん釣れそうなんだよねぇ。まぁ、しょうがない、今日はこれで帰るほか選択肢がない。

 
この雪かきが邪魔なんだよなぁ。もしかして、これ、ソリみたいにして下っていけるんじゃない? 子どもの頃急斜面を滑って遊んだ記憶を頼りに座ってみたけど、もっと急斜面で固めた雪じゃないと無理。こんなことなら、雪かきじゃなくてソリを持ってくれば良かった(笑)

 
というわけで、警告看板を横目に雪の林道を小走りで下り、無事夕方の会合には間に合いました。ふー、疲れたー。
今日も良い釣りができました。ありがとうございます。

不毛な会合に、大自然の厳しさと潔さを思う。

夕方の会合では、二つの部署で大したことない仕事の押し付け合いというしょーもない時間に付き合わされ、げんなり。
私はといえば今日の雪中行軍を思い出しつつ、この人たちも全て自分の責任で行動するしかない大自然の中へ一人で出かけてみてほしい、なんて思っていたのです。

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魚ココロあれば水ココロあり

コメント

  1. こんばんは。
    エライ所まで行くんですね、若い頃、道の無い超源流を熊笹をかき分け魚が居なくなる所まで行ってみよう行ったことがありますが、今考えると当時はクマの恐怖など全く考えなかったから不思議です、それにしてもきれいな水ですね、岩の関係でしょうか。

    • こんばんは。
      そうなんですよ、ほんとにエライところまで行ってしましました(笑)
      ここ数年、熊の被害が多くなっていますね。昔に比べて里に出てくる熊が多くなった印象です。
      この川はいつでも水の透明度は高いんですが、エメラルドグリーンなのは石質が関係しているかもしれないですね。

  2. 短時間釣行なのに、なんという行動力!
    そしてしっかり結果も残すというのが、また素晴らしい。
    ボクは「また冬型の天候に戻っちゃったし・・・」なんて言い訳しつつ、せっかくの連休を家で怠惰に過ごしています。
    まずは出掛けなきゃね。

    • kuniさん、こんばんは。
      1日たっぷり余裕があると思っていたので源流まで歩いて行ってしまいましたが、途中で晩の用事を思い出した時は青くなりました(苦笑)
      今回の釣果は運が良かっただけです。いつものことですが。
      しばらくご無沙汰している間にすっかり暖かくなったというか、初夏のような気候になってしまいましたね。

  3. おはようございます
    まさに雪中行軍、逞しいですね。
    そう言えば昔あったCM“腕白でもイイ、逞しく育って欲しい、丸大ハム”。
    これだけの雪だと、水温は3℃位でしょうか。
    そんな冷水でもイワナ達の逞しい事、丸大ハムを食べているんでしょうか??

    • マンボウさん、こんばんは。
      以前に雪中行軍で大変な思いをしたのに、懲りずにまた行ってしまいました。
      丸大ハムのCM、私も覚えていますよ! ワンパクって言葉、最近使わなくなりましたね(笑)
      水温は計りませんでしたが恐らく3℃だったと思われます。
      野性の魚たちは本当に逞しいです。力強い綺麗なヒレを見る度に思います。